プレス機械作業主任者の取り方|費用・日数・資格手当

「プレス機械作業主任者」と聞くと、難しい試験に合格しないと取れない資格だと思うかもしれません。でも実際は、試験ではなく講習を修了することで取ります。ただし、誰でもすぐ受けられるわけではありません。

この記事では、プレス機械作業主任者について、厚生労働省や労働基準協会の公開情報をもとに整理しました。何をする資格か、どんな職場で必要か、取り方・費用・日数、求人での扱いまで、順番に見ていきます。

プレス機械作業主任者とは

プレス機械作業主任者は、プレス機械を使う作業の安全を管理する「作業主任者」という資格です。労働安全衛生法という法律にもとづく資格です。

労働安全衛生法は、危険な作業について、会社に「免許を受けた人、または講習を修了した人の中から作業主任者を選び、労働者を指揮させる」ことを義務づけています(労働安全衛生法第14条)。プレス機械作業主任者は、このうち講習(技能講習)で取るタイプの資格です。

具体的な仕事は、労働安全衛生規則で4つ決まっています。

  1. プレス機械や安全装置の点検
  2. 機械に異常があったときの応急対応
  3. 切替えキースイッチを設けている場合、その鍵の保管
  4. 金型の取付け・取りはずし・調整作業の指揮

つまり、プレス機の安全装置がきちんと働いているかを確認し、金型交換など危ない作業のときに現場で指揮を執る役目です。

どんな職場で必要になるか

すべてのプレス工場に必要な資格ではありません。法律(労働安全衛生法施行令)では、「動力で動くプレス機械を5台以上持つ工場」だけが対象です。

電気などで動くプレス機を5台以上持つ工場は、この資格を持つ人を置くことが法律で決まっています。5台未満の職場では、法律上の義務はありません。

金属加工・プレス工場の仕事そのものについては、金属加工・プレス工場の仕事はきつい?で作業内容や危険性をくわしくまとめています。

資格の取り方(受講できる条件)

プレス機械作業主任者は、試験ではなく「技能講習」という講習を受けて取ります。受講できる条件は、主に次のどちらかです。

  • プレス機械の作業に5年以上たずさわった経験がある人
  • 特定の職業訓練を修了し、その後4年以上プレス機械作業にたずさわった人(対象になる訓練はかなり細かく決まっています)

ほとんどの人は「実務経験5年以上」の条件で受講しています。つまり、未経験からいきなり取れる資格ではなく、プレス作業の経験を積んだ人が次のステップとして目指す資格です。

講習の内容と日数

講習は座学(学科)だけで、実技講習は決まっていません。科目と時間は次のとおりです。

科目 内容 時間
機械・安全装置の知識 プレス機械、安全装置、送り装置、取出し装置など 6時間
保守点検の知識 プレス機械・安全装置の点検、作業環境の整備 2時間
作業方法の知識 手工具の使い方、金型の取付け・調整・取りはずし、安全作業 5時間
関係法令 労働安全衛生法など関係する法律 2時間

法令で決まっているのはこの15時間分です。多くの労働基準協会では、これに修了試験の時間を加えた運用で、合計16時間・2日間になっています。

一部の技能検定合格者(金属プレス加工などの1級・2級技能検定合格者)は、機械知識・保守点検・作業方法の3科目が免除される制度もあります。ただし、関係法令と修了試験は免除されません。

修了試験(考査)はある

講習の最後に、修了試験があります。筆記試験か口述試験のどちらかで行われると法律で決まっています。

合格率を公式に発表しているページは見つかりませんでした。この点は確認できなかった情報として扱います。ネット上に「合格率80〜90%」のような数字を書いているサイトもありますが、公的な発表ではないため、この記事では使っていません。

費用と日数の目安

都道府県の労働基準協会(連合会)6か所の公開情報を確認したところ、受講費用(受講料+テキスト代)は次のとおりでした。

実施機関 費用の目安 日数
香川労働基準協会 約11,440円 2日間
愛知労働基準協会 約13,340円 2日間
千葉県労働基準協会連合会 約14,740円 2日間
静岡県労働基準協会連合会 約14,800円 2日間
茨城労働基準協会連合会 約14,850円 3日間
新潟県労働基準協会連合会 約15,840円 2日間

まとめると、費用は約1.1万円〜1.6万円台くらい(2026年7月時点・確認できた複数機関の情報より。教本代を別立てにするなど内訳は機関によって異なり、1.6万円台になる機関もあります)、日数は多くの機関で2日間・合計15〜16時間です。開催の頻度は機関によって毎月〜年3回程度と差があります。

講習を受けられるのは、都道府県の労働基準協会など、国(労働局)の登録を受けた「登録教習機関」です。申し込みは各協会の窓口へ直接行います。正確な金額と日程は、必ず申し込み先のサイトで最新の情報を確認してください。

なお「安全衛生技術センター」(全国7か所)は国家試験(免許試験)を行う機関で、プレス機械作業主任者の技能講習は扱っていません。技能講習を実施しているのは労働基準協会などの登録教習機関なので、混同しないよう注意してください。

資格手当と求人での扱い

求人サイトで調べたところ、「プレス機械作業主任者」に触れる求人は、全国で400件以上見つかりました(2026年7月時点)。ただし、フォークリフト(8万8千件以上)や玉掛け(10万4千件以上)と比べると、求人での言及自体がかなり少ない資格だと分かります。

見つかった求人の多くは、「歓迎」「優遇」「尚可」といった書き方で、資格の取得を支援すると明記した求人は一部にとどまりました。「資格を持っていないと応募できない」という求人は見当たりませんでした。受講の条件自体が「プレス機械作業に5年以上」なので、未経験の人がいきなり資格保有を求められることは考えにくい仕組みです。

資格手当の具体的な金額を書いている求人は、今回の調査では見つけられませんでした。手当の有無・金額は、気になる求人ごとに直接確認することをおすすめします。

参考として、プレス作業(資格の有無を問わない一般的な作業)の時給は、確認できた求人で1,200円〜2,300円台くらい(2026年7月時点・複数の公開求人より)でした。幅がかなり広いのは、地域や会社、正社員か派遣かによる差が大きいためです。これは資格の手当ではなく、プレス作業全体の時給の目安です。

動力プレス機を5台以上持つ工場は、法律上この資格を持つ人を置く義務があります。求人で「歓迎」「尚可」という書き方が目立つのは、この事情によるものと見られます。

他の工場資格との違い

工場の資格の中には、フォークリフト運転技能講習や玉掛け技能講習のように、18歳以上であれば未経験でも受けられるものがあります。

プレス機械作業主任者は、原則としてプレス機械作業に5年以上たずさわった経験が必要です。工場で最初に取る資格としては、フォークリフトや玉掛けのほうが向いています。プレス機械作業主任者は、プレス工場で経験を積んだあとに目指す資格、というのがより実態に近い位置づけです。

次にやること

プレス機械作業主任者は、プレス工場で経験を積んだ人が次のステップとして目指す資格です。今すぐ取れる資格ではないからといって、あきらめる必要はありません。

  • 今プレス工場で働いていて経験が5年に近づいている人は、会社に資格取得の支援制度があるか確認してみましょう。
  • まだ工場で働いた経験がない人は、フォークリフトや玉掛けなど、未経験でも受けられる資格から検討してみましょう。
  • 費用や日程の最新情報は、住んでいる都道府県の労働基準協会のサイトで確認しましょう。

不安なまま調べ続けるより、まずは自分の状況に合った一歩から動いてみてください。

参考にした情報

公的機関・労働基準協会の公式サイトを中心にまとめました(取得は2026年7月)。金額や制度は変わることがあるため、最新の情報は各団体の公式サイトで確認してください。