酸素欠乏危険作業主任者の取り方|費用・日数・資格手当

「空気はどこでも同じように吸える」と思っていませんか。実は、マンホールやタンクの内部など、酸素が薄くなる場所があります。そこで安全に作業を進めるために必要なのが、「酸素欠乏危険作業主任者」という資格です。

この記事では、この資格がどんなものか、費用・日数・受講資格を、労働基準協会など講習を実施している機関の公開情報からまとめました。似た資格との違いや、求人での扱われ方も紹介します。

酸素欠乏危険作業主任者とはどんな資格か

酸素欠乏危険作業主任者は、酸素が薄い場所での作業を安全に進めるための国家資格です。労働安全衛生法という法律で、危険な作業には必ず「作業主任者」を置くことが決められています。酸素が薄くなるおそれがある作業については、「酸素欠乏症等防止規則」という決まりで、さらに細かいルールが定められています。

この資格を持つ人がやることは、主に次の4つです。

  • 作業のやり方を決めて、働く人に指示する
  • 作業の前や作業中に、空気中の酸素濃度をはかる
  • 測定器具や換気装置、呼吸用の保護具を点検する
  • 保護具が正しく使われているか見守る

第一種と第二種の違い

この資格には2つの種類があります。

  • 第一種(酸素欠乏危険作業主任者技能講習):酸素が薄くなるおそれがある場所が対象
  • 第二種(酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習):酸素が薄くなることに加えて、硫化水素(りゅうかすいそ、下水などから出る有毒なガス)が出るおそれもある場所が対象

第二種の講習を修了していれば、第一種の現場の主任者にもなれます。逆に第一種だけでは、硫化水素の危険がある現場の主任者にはなれません。

実は、いま実際に開かれている講習のほとんどは第二種にあたる「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習」です。公開情報によると、第一種だけを単独で行っている講習機関はほとんど見つかりませんでした。迷ったら、第二種の講習を探すのが確実です。

どんな場所で必要になるのか

第一種にあたる場所の例です。

  • 井戸の内部
  • ケーブルやガス管を通す、フタで覆われた地下の配線路や水路(暗きょ)、マンホール
  • 雨水や川の水がたまった水槽
  • 穀物を貯蔵するサイロ

第二種にあたる場所の例です。

  • し尿や汚泥、汚水など、腐りやすいものを入れてある、または過去に入れたことのあるタンクやマンホール、溝、ピットの内部
  • 海水がたまった、または過去にたまったことのある熱交換器の内部

ポイントは、「今は何も入っていないから大丈夫」ではないことです。過去に危険な物質が入っていた場所も、危険な場所として扱われます。

誰でも受講できるのか

公開情報で確認できた範囲では、受講資格は「満18歳以上であること」だけです。学歴や実務経験は求められていません。日本赤十字社の救急法講習を修了して認定証を持っている人は、実技の「救急そ生の方法」(2時間分)が免除される場合があるという情報もありました。学科の「救急そ生に関する知識」は免除の対象ではありません。受講資格や免除の条件は、申し込む機関の案内で必ず確認してください。

講習の内容と日数

第二種(酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習)について、複数の労働基準協会の公開情報で確認できた内容をまとめます。

区分 科目 時間
学科 酸素欠乏症・硫化水素中毒・救急そ生に関する知識 3時間
学科 酸素欠乏・硫化水素の発生原因と防止措置に関する知識 4時間
学科 保護具に関する知識 2時間
学科 関係法令 2時間30分
学科 修了試験 1時間
実技 救急そ生の方法 2時間
実技 酸素・硫化水素の濃度測定方法 2時間
実技 修了試験 1時間

学科と実技を合わせて、3日間で実施している機関が多く見つかりました(※機関によって日程は異なるため、申し込み先で必ず確認してください)。

第一種だけの科目別の時間割は、今回の調査では確認できませんでした。申し込む機関に直接聞くのが確実です。

修了試験の内容と難易度

学科の最後に筆記試験(マークシート方式)、実技の最後に実技試験があります。マークシート用に、HBの鉛筆かシャープペンシルを持っていく必要があります。

合格ラインを「正答率6割程度」と紹介している民間の情報サイトはありましたが、講習を実施している労働基準協会や建災防など公式の案内で合格ラインを公表しているところは見当たりませんでした。合格率も、厚生労働省や講習実施機関のサイトでは公表されていません。「休まず出席してまじめに聞いていれば合格しやすい」という声はいくつか見つかりましたが、これは個人の感想であり、公式な数字ではありません。

受講料の目安

5つの実施機関の公開情報を確認したところ、テキスト代を含めた総額(税込)はだいたい次のとおりでした。

実施機関 総額の目安(税込)
千葉県労働基準協会連合会 22,110円
茨城労働基準協会連合会 20,460円
建災防おおさか 25,145円
建設業労働災害防止協会 愛知県支部 17,655円
東京労働基準協会連合会(中央支部) 25,410円

まとめると、総額でだいたい18,000〜26,000円くらい(2026年7月時点・5機関の公開情報より)です。地域や時期によって差があります。実際の金額は、必ず申し込み先の最新の案内で確認してください。

どこで受けられるか・申し込み方法

北海道、茨城、千葉、東京、愛知、静岡、滋賀、大阪、兵庫、香川、福岡、岐阜、群馬など、公開情報で確認できただけでも多くの都道府県の労働基準協会や建設業労働災害防止協会の支部が講習を開いています。全国的に受講できる講習ですが、会場は各県の中心的な都市に集まりやすい点は覚えておいてください。

申し込みは、各都道府県の労働基準協会(連合会)や建設業労働災害防止協会の支部で受け付けています。FAXや電話、WEBなど、窓口は機関によって違います。受付は講習月のおおむね2か月前から始まる例がありました。

持ち物として、受講票、筆記用具(HBの鉛筆かシャープペンシル、消しゴム)、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を求める機関が多いです。

求人ではどう扱われているか

求人サイトの検索結果では、「酸欠危険作業主任」で191件、「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」で1,446件がヒットしました(2026年7月時点)。プラント業や下水道管理の仕事を中心に求められています。

時給を具体的に示した求人は、今回の調査では見つかりませんでした。月給や年収の例として、未経験可で月給30万〜32万円という求人や、月額基本給20万6千円〜32万円(予定年収320万〜500万円)という求人が公開求人情報から確認できましたが、件数が限られているため、参考程度に見てください。求人によって金額の幅が大きいので、応募を考えるときは、必ず個別の求人ページで最新の条件を確認しましょう。

似た資格「有機溶剤作業主任者」との違い

名前が似ている資格に「有機溶剤作業主任者」があります。対象になる危険がちがいます。

  • 酸素欠乏危険作業主任者:根拠は「酸素欠乏症等防止規則」。マンホールや下水道、タンクの内部、井戸、トンネルなど、酸素が薄くなったり(第一種)、硫化水素が出たりする(第二種)場所が対象
  • 有機溶剤作業主任者:根拠は「有機溶剤中毒予防規則」。有機溶剤(塗料や接着剤などに使われる、蒸発しやすい薬品)を扱う屋内作業場や、有機溶剤が入っていたタンク・船倉などが対象

どちらも労働安全衛生法にもとづく資格ですが、対象になる危険(酸素不足・硫化水素か、有機溶剤か)が違うため、作業場所も講習の中身も別物です。両方の現場を持つ職場では、両方の資格を持つ人が重宝されることもあります。

酸素欠乏症はどんな危険か

法律では、空気中の酸素濃度が18%未満の状態を「酸素欠乏」と呼びます。この薄い空気を吸って体に症状が出た状態が酸素欠乏症です。18%は法律で決められた安全の下限で、実際には濃度16%くらいから頭痛やめまい、吐き気、脱力といった症状が出はじめ、濃度が下がるほど危険になります。さらに下がると、一瞬で意識を失い、呼吸や心臓が止まることもあります。マンホールやタンクの内部など、閉じた空間で起こりやすいとされています。健康への影響の詳しいことは、厚生労働省など公式サイトの情報を確認してください。

次にやること

  1. 自分が関わる、または応募したい現場が「酸素欠乏のみ」か「硫化水素の危険もあるか」を確認する。迷ったら第二種(酸素欠乏・硫化水素)の講習を選ぶ。
  2. お住まいの都道府県の労働基準協会や建設業労働災害防止協会のサイトで、開催日・時間・料金・持ち物を確認する。
  3. 受講を申し込む(FAX・電話・WEBなど、機関の指定する方法で)。
  4. 資格を活かせる求人を探すなら、求人サイトで「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」で検索し、給与や待遇の記載を自分の目で確認する。

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