金属加工・プレス工場の仕事はきつい?作業内容・時給と危険性

「プレス工場は指をはさみそうで怖い」。金属加工の求人を見て、そこで手が止まっていませんか。機械で金属を打ち抜くと聞くと、事故のイメージが先に立ちます。中身を知る前に候補から外してしまう人は少なくありません。

でも、実際の作業は工程ごとに分かれていて、危ない部分には機械や法律でいくつも守りがかけてあります。この記事では、金属加工・プレス工場の仕事を中身から見ていきます。何をする仕事か、危険は実際どうなのか、きついと言われる理由、給料の目安、あると有利な資格まで。使ったのは、国や求人の公開情報です。応募するかどうかを決める材料にしてください。

先に結論

先に要点だけ。

  • 金属加工・プレス工場の仕事は、金属を打ち抜く、削る、曲げる、つなぐといった作業に分かれます。プレス、板金、切削、溶接、バリ取り、検査などの工程があります。
  • 機械で指をはさむ事故があるのは本当です。ただし、その分だけ安全装置や資格、点検の決まりが法律で細かく定められています。
  • きつさの中心は、重い材料の出し入れ、立ち仕事、油やにおい、そして工場によっては交代勤務(昼と夜が入れ替わる働き方)です。
  • 時給はだいたい1,000〜1,700円くらいと幅があります(2026年7月時点・複数の求人サイトから)。夜勤があると上がりやすいです。
  • 未経験でも入れる求人が多いです。玉掛けやフォークリフトなどの資格があると、採用や手当で有利になりやすいです。

金属加工・プレス工場はどんな仕事か

金属加工と一口に言っても、工場でやる作業はいくつかに分かれます。求人サイトや業界の解説を整理すると、主な工程は次のとおりです。

  • プレス加工:プレス機に金型(部品の形を作る型)を取り付け、金属の板をセットして、上から強い力で打ち抜いたり曲げたりします。同じ部品を数多く作るのが得意な工程です。
  • 板金加工:薄い金属の板を、切る・曲げる・溶接する(熱でくっつける)で形にします。図面をもとに、切断、バリ取り、曲げ、溶接、仕上げ、検査の順に進むのが一般的です。
  • 切削加工:材料を刃物で削って形を作ります。旋盤(材料を回して削る機械)やフライス盤(回る刃で削る機械)を使います。手で刃を調整する「汎用機」と、コンピューターで自動に動かす「NC」があります。
  • バリ取り:プレスや切断でできた金属のギザギザ(バリ)を取り除く仕上げの作業です。
  • 検査:目で見たり、測定器を当てたりして、不良品を見つけます。次の工程や客先に不良を出さないための工程です。

厚生労働省の職業情報サイト「job tag(ジョブタグ)」にも、金属プレス工や旋盤工、NC工作機械オペレーター、検査工といった職業のページがあります。担当する工程によって、力を使う作業もあれば、機械の操作や検査のように座ってできる作業もあります。

入るのに必要な資格や学歴は、特に決まっていないのが一般的です。求人でも「未経験歓迎」が多く、入ってから作業を覚えていく形が多く見られます。

「危険」は本当? はさまれ事故と守る仕組み

金属加工で一番心配されるのが、機械に手をはさむ事故です。これは実際に起きています。厚生労働省の労働災害の分析によると、製造業の事故の中で「はさまれ・巻き込まれ」は多い型のひとつです。とくにプレス機は強い力で動くため、金型に手を入れたまま動かして指をはさむ事故が、過去の調査でも報告されています。

大事なのは、この危険がそのまま放置されているわけではない、という点です。プレス機を使う工場には、危険を減らすための決まりが法律でいくつも定められています。主なものを挙げます。

  • プレス機械作業主任者を置く:動力プレス(電気などで動くプレス機)を5台以上持つ工場では、専門の講習を受けた「作業主任者」を選ぶことが義務づけられています(労働安全衛生法)。作業の前に安全装置を点検するなどの役目があります。
  • 安全装置をつける:手が危険な場所に入らないようにする仕組みです。光のカーテン(手が入ると機械が止まる装置)や、両手でボタンを押さないと動かない仕組み、囲いなどがあります。
  • 特別教育を受ける:金型の取り付けや調整など、危険がある作業をする人は、事前に決められた教育(学科と実技)を受けることになっています。
  • 定期的に検査する:動力プレスは、1年に1回以上の検査が義務づけられています。検査した証しのシールを機械に貼ります。

このように、危険な機械を使うからこそ、守るためのルールが多いのが金属加工の現場です。応募のときは、安全装置や安全教育があるかを見ておくと安心です。

きついと言われる理由

金属加工・プレス工場が「きつい」と言われるのは、主に次の理由です。

1. 重い材料や製品の出し入れ金属は重いです。材料をプレス機にセットしたり、できた製品を運んだりする作業では、腰に負担がかかることがあります。厚生労働省の指針でも、仕事による腰痛は業務上の病気の中で多くを占めるとされ、重い物を扱う作業には注意が必要です。フォークリフトやクレーンで運ぶ工場もあり、そこは体の負担が軽くなります。

2. 立ち仕事・同じ作業のくり返しプレスや検査は、立ったまま同じ動きをくり返すことが多い作業です。体力より、集中を切らさないことの疲れを感じる人もいます。

3. 油・におい・金属の粉切削では、刃物を冷やす油(切削油)を使います。油のにおいやミスト(細かい粒)が気になる現場があります。金属の粉が出る作業では、マスクなどで体を守る決まりがあります。

4. 騒音プレス機や研削の音は大きめです。厚生労働省のガイドラインでも、金属加工は耳を守る対策が要る作業に挙げられています。耳栓やイヤーマフ(耳をおおう防音具)を使う現場が多いです。

5. 交代勤務(工場による)機械を止めずに動かす工場では、2交代や3交代のシフトになります。昼と夜が入れ替わるので、生活のリズムをくずしやすい人もいます。すべての工場が交代勤務というわけではなく、日勤だけの求人もあります。

働きやすいと言われる面もある

一方で、金属加工には働きやすいと言われる面もあります。

  • 工程を選べば負担が軽い:検査や小物のプレス、機械の操作など、力仕事が少ない工程もあります。座ってできる作業もあり、体力に自信がなくても続けやすい担当があります。
  • 一人で黙々とできる:決まった作業を一人で進める場面が多く、人との関わりが少なめの仕事を探している人に向くという声があります。
  • 技術が身につく:旋盤やNC、溶接などは、覚えるほど任される作業が増えます。手に職がつきやすく、続けるほど有利になりやすい仕事です。

「金属加工 きつい」と検索されることもあります。理由としてよく挙がるのは、重さ、油、音、交代勤務です。裏を返せば、担当する工程しだいで負担は変わります。自分がどれを苦手にするかで、合う・合わないが決まります。

時給・給料の目安

金属加工の給料は、雇用の形と作業の内容で幅があります。複数の求人サイトを見た範囲では、時給はだいたい次のようになっています。

雇用の形・作業 時給の目安 補足
パート・アルバイト(プレス・軽作業・検査) だいたい1,000〜1,400円 未経験OKの求人が多い
派遣(金属加工・プレスの機械操作) だいたい1,300〜1,700円 交代勤務の求人が多め
契約・正社員(月給) だいたい18万〜30万円 会社や経験で幅が出る

※2026年7月時点。求人ボックス・タウンワーク・バイトルなど複数の求人サイトの掲載情報から。集計のしかたはサイトで違うため、あくまで目安です。

年収の目安としては、金属プレスや旋盤、NCなどの職種で、だいたい420万〜460万円くらいという数字が出ています(賃金構造基本統計調査という国の調査をもとにした目安)。ただしこれは経験を積んだ人も含めた目安です。パートや未経験のうちは、これより低いのがふつうです。金額は変わるので、気になる職種は job tag などの公式で最新を確かめてください。

夜勤があると、給料は上がりやすくなります。法律で、夜22時から朝5時の時間帯は、いつもの時給に25%以上を上乗せすると決まっているからです(労働基準法)。これは「深夜手当」と呼ばれ、パートやアルバイトにも当てはまります。会社が独自に出す夜勤手当がつくこともあります。

あると有利な資格

金属加工は、資格がなくても入れる求人が多いです。ただし、機械や運搬を扱う仕事なので、資格を持っていると採用や手当で有利になりやすいです。代表的なものを並べます。

資格 どんな役割か 取りやすさ・費用の目安 使いどころ
玉掛け技能講習 クレーンで荷を吊るときに必須 18歳以上。計3日ほど。約2万〜4万円 まず取りやすい入口の資格
フォークリフト運転技能講習 フォークリフトの運転に必須 18歳以上。2〜5日ほど。約2万〜6万円(未経験は高め) 工場・倉庫の運搬で幅広く役立つ
アーク溶接特別教育 溶接機を使う作業に必要 18歳以上・経験不問。3日ほど。約1万〜2.5万円 溶接の工程に進む入口
研削といしの取替え等 特別教育 研削盤のといし交換などに必要 18歳以上。1日ほど。約1万〜1.5万円 バリ取り・仕上げの工程
プレス機械作業主任者(技能講習) プレス作業の安全を管理する監督者 受講にプレス作業5年以上などの条件。2日。約1.4万〜1.5万円 リーダー・主任者を目指す段階で

※費用や日数は2026年7月に確認した目安です。地域や講習の機関で変わるので、最新は各団体の公式サイトで確認してください。

まず取るなら、玉掛けやフォークリフトがおすすめです。18歳以上なら経験がなくても受けられ、金属加工だけでなく多くの工場で役立ちます。玉掛けの中身は玉掛け技能講習のまとめ、フォークリフトはフォークリフト免許の取り方でくわしく説明しています。会社によっては、入社後に受講費用を出してくれるところもあります。プレス機械作業主任者は実務経験が要るので、働きながら目指す資格です。

未経験・女性・年齢のこと

未経験金属加工は、未経験から始めやすい仕事です。求人でも「未経験歓迎」が多く見られます。入ってから玉掛けやフォークリフトの資格を取るよう勧める会社もあり、受講費用を出してくれる場合もあります。

女性検査、バリ取り、小物のプレスなど、力仕事の少ない作業を中心に、女性も働いています。ただし、金属プレスだけにしぼった女性の割合を示す公的な数字は、確認できませんでした。製造業全体では、女性の割合はおおむね3割前後とされています(経済産業省などの資料)。気になる人は、女性が働いているか、更衣室などの設備が整っているかを面接で確認するとよいです。

年齢金属プレスの仕事は、平均年齢が40代前半という目安の数字があります。求人サイトには「40代・50代活躍中」の特集もあります。求人票の年齢制限は、法律で原則として禁止されています。年齢だけで応募をあきらめる必要はありません。

応募前に確認したいこと

金属加工は、同じ会社でも配属や工程で働き方が変わります。応募する前に、次の点を求人票や面接で確認しておくと、入ってからのギャップが減ります。

  • どの工程を担当するか(プレス、切削、溶接、バリ取り、検査など)
  • 重い物を扱うか、フォークリフトやクレーンで運ぶか
  • 勤務の形(日勤だけか、2交代・3交代・夜勤があるか)
  • 安全装置や安全教育、保護具(耳栓やマスク、保護めがね)があるか
  • 雇用の形(正社員・契約・派遣・パート)と、正社員になる道があるか
  • 時給・月給と、夜勤手当・資格手当などの手当
  • 資格の取得を会社が支援してくれるか
  • 通勤方法、寮があるか、いつから入れるか

「危なそう」という不安は、安全の仕組みを確認することで小さくできます。気になる点は、遠慮せず聞いておきましょう。

次にやること

金属加工・プレス工場は、金属を打ち抜き、削り、つなぐ仕事です。機械に手をはさむ危険はありますが、その分だけ守る仕組みも整っています。きつさは工程しだいで変わり、力仕事の少ない担当もあります。最後に、今日からできることをまとめます。

  1. 自分が「重さ・音・油・交代勤務」のどれを苦手にするか、まず考えてみる。工程しだいで負担は変わります。
  2. 求人を1〜2件開いて、「担当する工程・勤務の形・時給・資格支援」の4つを見てみる。書いていなければ、確認する候補としてメモする。
  3. 資格で有利にしたいなら、まず玉掛け技能講習のまとめフォークリフト免許の取り方を読む。ほかの業種と迷っているなら、工場の業種別 働きやすさ比較で負担の中身を見比べる。

「プレス工場は危ない」という言葉に、ひとまとめで不安になる必要はありません。中身を知って、自分に合うかを確かめれば、判断できます。まずは求人を1件、この目で見るところから始めてみてください。