工場で資格を取ろうと思っても、種類が多くてどれから手をつければいいのか迷います。取り方を1つずつ調べるのも大変です。
この記事では、工場・製造でよく出てくる定番の資格8つを、取り方・費用・取得日数・難易度・主な使い道で1つの表にまとめました。公式の試験団体や講習団体の公開情報を、2026年6月時点で整理したものです。
順位はつけません。どれが一番かではなく、自分の目的で選ぶための材料として使ってください。
先に結論
先に要点だけ。
- 資格は大きく2つに分かれます。講習を受けて修了すれば取れるもの(フォークリフト・玉掛け・クレーン・溶接)と、試験に合格して取るもの(危険物乙4・電気工事士・機械保全)です。
- 講習系は2〜5日で取れて、落とすための試験ではありません。まず採用に効く1枚がほしいなら、ここから入りやすいです。
- 試験系は勉強の時間が要りますが、長く役立ちやすく、設備保全など次のステップにつながります。
- 資格手当が付くかどうか、いくらかは会社によってばらばらです。額は求人票で確認してください。
迷ったら、取りやすさ(講習か試験か)と、自分が行きたい現場(運搬・溶接・保全など)の2つで絞るのが早いです。
工場で役立つ資格 比較表(2026年6月時点)
費用と日数は地域・教習所・受ける人の条件で変わるため、幅で示しています。難易度は、試験のあるものは合格率を年度付きで、講習のものは「修了すれば取得」と書いています。
| 資格 | 取り方 | 費用の目安 | 取得日数 | 難易度・合格率 | 主な使い道 |
|---|---|---|---|---|---|
| フォークリフト運転技能講習 | 技能講習(修了試験あり) | 約16,000〜50,000円 | 2〜5日 | 修了すれば取得(落とす試験ではない) | 構内・倉庫の運搬 |
| 危険物取扱者 乙4 | 国家試験 | 約10,000〜15,000円(独学) | 勉強40〜60時間・1〜3ヶ月 | 合格率31.7%(令和6年度) | 燃料・塗料・溶剤を扱う現場 |
| 玉掛け技能講習 | 技能講習(修了試験あり) | 約22,000〜33,000円 | 3日 | 修了すれば取得(難しくない) | クレーンで重い物を吊る作業 |
| 小型移動式クレーン運転技能講習 | 技能講習(修了試験あり) | 約30,000〜47,000円 | 3日(免除で短縮) | 修了すれば取得 | 5t未満のクレーン車の運転 |
| アーク溶接特別教育 | 特別教育(試験なし) | 約12,000〜25,000円 | 約3日(学科のみ1.5日) | 修了すれば取得(試験なし) | 金属の溶接 |
| ガス溶接技能講習 | 技能講習 | 約12,000〜14,000円 | 2日 | 修了すれば取得(落ちにくい) | 金属の溶断・加工 |
| 第二種電気工事士 | 国家試験(学科+技能) | 約25,000〜60,000円(工具・材料込み) | 勉強100〜200時間・2〜7ヶ月 | 学科約57%・技能約72%(令和7年度) | 設備保全・配線まわり |
| 機械保全技能士(3級・2級) | 国家検定(学科+実技) | 受検料 計約20,000円 | 年1〜2回の試験 | 機械系3級77.6%・2級38.1%(2024年度) | 設備保全・メンテナンス |
※2026年6月30日時点・公式の試験団体や講習団体の公開情報から整理。費用は地域・教習所・受ける人の条件(持っている免許や経験)で変わります。合格率は年度と作業区分によって変わります。資格手当は会社でばらつくため、表には入れていません(あとの「資格手当について」を参照)。
表の見方
講習で取れる資格と、試験で取る資格
フォークリフト・玉掛け・クレーン・溶接は技能講習や特別教育です。決められた時間の講習を受け、修了すれば取れます。修了試験があるものもありますが、落とすための試験ではなく、ほとんどの人が修了します。数日で取れるので、最初の1枚に向いています。
危険物乙4・電気工事士・機械保全は試験です。勉強の時間が要り、合格率も下がります。そのぶん、知識の証明になり、設備保全や電気のメンテナンスなど次の仕事につながりやすいです。
費用の見方
表の費用は幅で見てください。理由はいくつかあります。
- フォークリフトは、普通免許の有無や経験で受ける講習時間が変わり、費用も変わります。免許なし・未経験のコースがいちばん高く、経験者向けの短いコースは安くなります。
- 電気工事士は、受験料のほかに工具と練習用の材料が要ります。何を選ぶかで総額が大きく変わります。
- 試験系は、独学かスクールかでも費用が変わります。
会社が業務として受けさせる場合は、費用を会社が負担することもあります。雇用保険の教育訓練給付など、補助が使える場合もあります(条件はハローワークなどで確認)。
目的別の選び方
何を狙うかで、向いている資格は変わります。
- まず採用で有利になりたい:フォークリフトと玉掛け。数日・低めの費用で取れて、工場・倉庫の求人が多く、持っていると現場で重宝されます。
- 長く役立つ・次のステップにつなげたい:第二種電気工事士と機械保全技能士。設備保全やメンテナンスの仕事につながり、ビル管理など他の現場にも応用がききます。
- 燃料や溶剤を扱う現場を狙う:危険物乙4。短期間・低費用で取れて、化学・塗装・食品工場のボイラー周りなどで役立ちます。
- 金属を溶接する現場を狙う:アーク溶接やガス溶接。試験なし・2〜3日で取れて、溶接の仕事の入口になります。
資格手当について
「資格を取ると手当が付く」とよく言われます。ただ、ここは誤解しやすいところです。
資格手当を出すかどうか、いくら出すかは、会社によって大きく違います。同じ資格でも、毎月手当が付く会社もあれば、付かない会社、取得時の一時金だけの会社もあります。
参考になる調査が1つあります。求人サイト工事士.comが2021年度の電気工事の求人852件を調べたところ、資格手当を出す会社は62.7%で、第二種電気工事士の手当は平均で月7,370円、いちばん多い額は月5,000円でした。ただしこれは電気工事の求人での数字で、工場・製造現場ではまた事情が変わります。
ほかの資格(フォークリフトや玉掛けなど)も、求人サイトでは月数千円〜1万円ほどの例が見られますが、これは出典のはっきりしない目安です。会社共通の決まった額ではありません。
手当の額だけで資格を選ばず、いくら・どんな条件で付くかを応募先の求人票で確認してください。
資格ごとのメモと出典
各資格の補足と、参考にしたページです。費用・手当は2026年6月時点で、変わる前提で見てください。
フォークリフト運転技能講習
- 18歳以上なら受けられます。1t以上を運転するにはこの講習が必要(1t未満は試験なしの特別教育)。修了試験はありますが、習得を確認するためのもので、落とすための試験ではありません。
- 費用は持っている免許や経験でコースが変わります。免許なし・未経験の35時間コースが約39,600〜50,000円、普通免許ありの31時間コースが約35,000〜42,000円、経験者向けの短いコースは約16,500〜24,000円。教習所によってはテキスト代や保険料が別にかかります。
- 合格率はスクールが「90〜95%」と紹介していますが、公的な統計は見つかりませんでした。数字は参考程度に。
- 公式:厚生労働省 技能講習規程/コベルコ教習所(2026年6月確認)
危険物取扱者 乙種第4類(乙4)
- 試験で取る国家資格。受験資格はなく、誰でも受けられます。受験手数料5,300円+免状交付2,900円が公式の決まった額で、テキスト代を入れて1万円強が目安。
- 合格率は令和6年度の乙4で31.7%(受験223,846名・合格71,023名)。低めですが、受験者が多く初学者も多いためで、独学でも十分狙えます。
- ガソリン・灯油・塗料・溶剤など引火性の液体を扱う現場で役立ち、ガソリンスタンドなど工場以外でも使えます。
- 公式:消防試験研究センター 試験案内/令和6年度 試験実施状況(2026年6月確認)
玉掛け技能講習
- クレーンで重い物(1t以上)を吊るときに必要。18歳以上なら受けられます。標準は3日間で、クレーン運転士免許などがあると学科が一部免除され、少し短く・安くなります。
- 費用は税込・教材費込みで約22,000〜33,000円ほど。受講要件のない標準コース(19時間)で25,000〜28,000円前後が中心で、地域・教習所で上下します。
- 講習を受けて修了試験に合格すれば取得できます。難しい試験ではありません。「合格率99.3%」という数字が出回っていますが、出典が工業高校生を対象にした民間調査のため、この記事では数字を断定しません。
- 公式:厚生労働省 技能講習規程/コベルコ教習所(2026年6月確認)
小型移動式クレーン運転技能講習
- つり上げ荷重1t以上5t未満のクレーン車を動かせます。18歳以上なら受けられ、標準は3日間(保有資格で免除・短縮あり)。
- 玉掛けとセットで取ると、構内の運搬・据え付けで役立ちます。5t以上を扱うには上位の移動式クレーン運転士免許が別に必要です。
- 公式:厚生労働省 建設労働者育成支援/日本クレーン協会近畿支部(2026年6月確認)
アーク溶接特別教育
- 試験のない特別教育です。学科11時間+実技10時間の計21時間(約3日)を受ければ修了でき、落ちる心配はほぼありません。学科だけ外部で受け、実技は会社で行うコースも多いです。
- 半自動溶接(CO2溶接など)も含め、アーク溶接全般の入口資格。有効期限はなく一生使えます。
- 公式:厚生労働省 あんぜんサイト/労働技能講習協会(2026年6月確認)
ガス溶接技能講習
- 可燃性ガスと酸素で金属を溶接・溶断する作業に必要。18歳以上なら受けられ、2日間で取れます。費用も約12,000〜14,000円と低め。
- 名前の似た「ガス溶接作業主任者」(実務経験が要る上位資格)とは別物です。
- 公式:厚生労働省 建設労働者育成支援/愛知労働基準協会(2026年6月確認)
第二種電気工事士
- 学科試験と技能試験の2段階。受験資格はなく誰でも受けられます。受験手数料11,100円(ネット申込)+免状交付5,300円のほか、技能試験用の工具・練習材料が要るため、総額は約25,000〜60,000円と幅があります。
- 合格率は令和7年度(2025年度)の上期で学科57.7%・技能72.0%。国家資格の中ではやさしめで、技能は練習をくり返せば受かりやすいです。
- 扱えるのは600V以下の一般用電気工作物まで。設備保全やビル管理への入口として定番です。
- 公式:電気技術者試験センター/試験結果と推移(2026年6月確認)
機械保全技能士(3級・2級)
- 学科と実技の両方に合格して取る国家検定。3級は実務経験なしで受けられ、2級は実務2年以上が原則ですが、3級に合格していれば実務経験がなくても2級を受けられます。受検料は学科4,600円+実技15,400円の計約20,000円(全国一律。3級は年齢や在職者などの減免で安くなる場合があります)。
- 合格率は2024年度の機械系で3級77.6%・2級38.1%。3級は受かりやすく、2級から難しくなります。区分(機械系・電気系・設備診断)と等級で合格率が変わります。
- 設備保全・メンテナンスの仕事で「基礎が分かる証明」として使いやすい資格です。
- 公式:機械保全技能検定 試験要項/2024年度 合格率(PDF)(2026年6月確認)
数字の確かさについて
このサイトは取材をしていません。公開情報を整理しています。確認のとれ方を正直に書いておきます。
- 公式で確認できた数字:危険物乙4・第二種電気工事士・機械保全技能士の受験料や合格率は、試験団体の公式サイトの数字です。フォークリフト・玉掛け・クレーン・溶接の区分や講習時間は、厚生労働省や登録教習機関の公開情報です。
- 幅で見てほしい数字:費用(教習所・地域・選ぶ道具で変わる)と勉強時間(人による)。
- 断定しない数字:講習系の「合格率○○%」(スクールや民間調査の数字で、公的統計が確認できないもの)と、資格手当(会社でばらつく)。
合格率は「年度」と「区分」で変わります。この記事は確認できた年度を付けています。最新の数字は各団体の公式ページで確認してください。
次にやること
- 行きたい現場(運搬・溶接・保全など)から、上の表で資格を2〜3個に絞る。
- 講習系(フォークリフト・玉掛け・クレーン・溶接)は、近くの登録教習機関の日程と料金を調べる。試験系(危険物・電気工事士・機械保全)は、公式サイトで次の試験日と申込方法を確認する。
- 費用は、会社や派遣会社の負担、教育訓練給付などの補助が使えないかを勤務先・ハローワークで確認する。
- 資格手当は「いくら・どんな条件で付くか」を応募先の求人票で確認する。手当の額だけで選ばない。
- 迷ったら、まず数日で取れる講習系から1枚。そのあと、長く役立つ試験系へ進む。
資格をどれにするか迷い続けるより、行きたい現場から1つ決めて、公式で日程を調べるほうが早く動けます。
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関連リンク
各資格の公式の試験団体・講習団体・厚生労働省のページを中心に、費用や手当の一部はスクール・求人サイトの情報も使いました(取得は2026年6月)。くわしいリンクは上の「資格ごとのメモと出典」にまとめています。費用・手当・合格率は時期と条件で変わるため、最新の数字は各団体の公式ページで確認してください。
