丙種危険物取扱者の取り方・費用・難易度|乙4との違いも

危険物取扱者は、乙4だけではありません。実は、乙4より勉強時間が短くてすみ、合格率も高い区分があります。それが「丙種」です。ガソリンや灯油をあつかえる丙種危険物取扱者は、どんな資格で、乙4とは何が違うのか。公開情報をもとに整理します。

丙種危険物取扱者は何をあつかえる資格か

丙種危険物取扱者は、消防法にもとづく国家資格です。試験は都道府県知事が行うことになっていますが、実際は国が指定した一般財団法人・消防試験研究センターが、都道府県知事から任されて実施しています(出典:消防法第13条の3・第13条の5、消防試験研究センター)。

丙種の免状があると、危険物のうち別表第一の第四類(引火性液体)の中でも、決められた品目だけをあつかえます。具体的には、ガソリン、灯油、軽油、第三石油類(重油、潤滑油、引火点130℃以上のもの)、第四石油類(ギヤー油・シリンダー油など)、動植物油類(なたね油・やし油など)です(出典:危険物の規制に関する規則第49条)。

乙種・甲種との違い

危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種の3つの区分があります。違いは大きく2つです。「どこまでの危険物をあつかえるか」と「立会いができるかどうか」です。

区分 あつかえる範囲 無資格者への立会い 危険物保安監督者
甲種 すべての類の危険物 できる なれる
乙種(乙4など) 取得した類の危険物 できる 実務経験6か月以上などの条件を満たせばなれる
丙種 決められた6品目のみ できない なれない

(出典:消防法第13条、危険物の規制に関する規則第49条)

丙種は、決められた6品目の取扱いと、定期点検ができます。ただし、取扱作業について資格を持っていない人に立ち会ったり、危険物保安監督者になったりすることはできません。この「立会いができない」という点が、乙4との一番大きな違いです。

受験に条件はある?

丙種は、確認できた範囲では年齢・学歴・実務経験を問わず、誰でも受験できます。乙種も同じく誰でも受験できます(出典:消防試験研究センター 受験資格)。

一方で甲種は、化学系の学科を卒業している、化学に関する科目を15単位以上修得している、化学を専攻して修士・博士の学位を持っている、乙種の免状を持ち実務経験が2年以上ある、乙種の免状を「第1類または第6類」「第2類または第4類」「第3類」「第5類」の4グループすべてで持っている、のどれかに当てはまる必要があります(出典:危険物の規制に関する規則第53条の3)。丙種は、こうした条件がなく、資格を持っていない人が最初に挑戦しやすい区分といえます。

なお、丙種の年齢の下限・上限について、消防試験研究センターの案内ページに具体的な数字は見当たりませんでした。気になる人は、受ける都道府県の支部に直接確認してください。

どんな試験が待っているか

試験は都道府県ごとの支部(東京は中央試験センター)で実施されます。実施回数は都道府県によって違い、住んでいる都道府県以外でも受験できます(出典:消防試験研究センター)。たとえば東京都の令和8年度(2026年度)の日程では、丙種はおよそ年8〜9回組まれています(うち1回は本土から離れた会場)(出典:消防試験研究センター 令和8年度試験日程、2026年8月確認)。回数や会場は年度ごとに変わるので、受けたい支部のページで最新の日程を確認しましょう。

試験科目は、次の3科目・合計25問です。

  • 危険物に関する法令:10問
  • 燃焼及び消火に関する基礎知識:5問
  • 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法:10問

4択のマークシート方式で、試験時間は1時間15分です。合格ラインは、3科目それぞれで正答率60%以上。1科目でも60%未満だと不合格になるので、苦手な科目を作らないことが大事です(出典:消防試験研究センター 試験科目・試験方法)。

申し込み方法は「電子申請」(24時間いつでも申し込めますが、受付開始日・締切日の時間は決まっています)と「書面申請」の2つがあります。受付開始は試験日のおおむね1〜2ヶ月前が中心で、受付期間は10日前後のことが多いですが、都道府県によっては1ヶ月近いこともあります(出典:消防試験研究センター 電子申請案内、令和8年度試験日程)。

受験にかかるお金

受験料は4,200円(消費税なし)です。2024年5月に3,700円から値上げされました。国の政令で決まった標準額をもとにしているため、2026年8月確認の時点では、全国どこで受けても同じ金額です(出典:消防試験研究センター、総務省消防庁)。

これに加えて、テキストと問題集を1冊ずつ用意すると、あわせて数千円くらいかかります。

合格率で見る本当の難易度

丙種危険物取扱者の合格率は48.0%でした(受験者19,969人、合格者9,593人・令和7年4月〜令和8年3月)。同じ期間の乙種第4類(乙4)の合格率は31.9%(受験者222,545人、合格者71,059人)です(出典:消防試験研究センター 試験実施状況)。

数字だけを見ると、丙種のほうが合格率は高めです。ただし丙種は、あつかえる危険物の種類が限られる資格です。「まず丙種で試験の感覚をつかんでから、乙4を目指す」という順番で考える人もいます。

勉強時間の目安は、資格スクールの紹介によると(二次情報)、丙種でだいたい20〜30時間、乙4でだいたい40〜60時間です(出典:アルクの資格比較、二次情報)。サイトによって示す時間には幅があるので、あくまで目安として見てください。1日1時間のペースなら、丙種は3〜4週間、乙4は1.5〜2ヶ月くらいが目安になります。

独学での合格率そのものを示す公式データは確認できませんでした。丙種向けのテキスト・問題集は、実教出版など複数の出版社から出ています(出典:実教出版)。図やイラスト中心のテキストと、過去問中心の問題集を1冊ずつ用意すれば、独学でも進めやすい教材はそろっています。

丙種で扱える危険物・工場での使いみち

丙種危険物取扱者は、ガソリンスタンドのスタッフ、灯油・軽油を運ぶタンクローリーの運転手、燃料を扱う倉庫・工場の製造ラインなどで役立つ資格です(出典:はたら工場マガジン)。

求人サイトで「危険物取扱者 丙種」を調べると、求人ボックスで2,915件(2026年8月確認)。平均月給は27.3万円くらいで、多くの求人は21.3万〜54.0万円くらいの範囲に収まっています(出典:求人ボックス)。Indeedにも100件以上の求人があり、求人例では時給1,310〜1,450円くらい、月給18.5万〜43万円くらいといった募集も見られます(2026年8月確認・出典:Indeed)。多いのは、タンクローリー運転手や給油スタッフ、施設管理の仕事です。

資格手当は、ある大手企業の例では月1,000円くらいという情報があります(二次情報)。手当が出ない会社も多く、金額は会社によって差があります(出典:資格まるさん格)。化学工場・石油関連工場だけに絞った求人件数や、丙種取得者のうち何割が乙4に進むかという割合は、公開情報からは分かりませんでした。

丙種から乙4へのステップアップ

丙種は「立会い」や「危険物保安監督者」にはなれません。そのため、ガソリンスタンドで責任のある役職を目指す人や、あつかえる危険物を増やしたい人には、乙種4類(乙4)へのステップアップが勧められています。乙4なら丙種と同じガソリン・灯油・重油などをあつかいながら、立会い・保安監督まで担当できるようになるからです(出典:はたら工場マガジン)。

乙4の取り方・費用・時給の目安は、こちらの記事にまとめています。→ 危険物取扱者乙4の取り方・費用・難易度|工場求人の時給も

次にやること

丙種危険物取扱者に興味を持った人は、次の3つをやってみましょう。

  1. 受ける都道府県の消防試験研究センター支部のページで、次の試験日と受付期間を確認する。 回数・会場は都道府県によって違います。
  2. テキストを1冊選んで、目次だけでもざっと見てみる。 3科目・25問というボリュームなので、全体像をつかみやすい試験です。
  3. 求人サイトで「丙種歓迎」なのか「乙4必須」なのかを確認する。 やりたい仕事によって、必要な区分が変わります。