第二種電気工事士の取り方・費用・難易度|工場求人の時給も

工場の求人を見ていると、「電気工事士歓迎」「設備保全(電気工事士尚可)」と書かれていることがあります。設備保全の仕事や、自動化が進む工場でも評価されやすい資格ですが、何ができるようになるのか、いくらでどれくらい勉強すれば取れるのか、よくわからない人も多いと思います。

この記事では、第二種電気工事士について、取り方・費用・勉強時間・難易度を、一般財団法人電気技術者試験センターなど公的機関の公開情報からまとめました。工場でどう評価されるかも、公開情報から確認できた範囲で紹介します。

第二種電気工事士とはどんな資格か

第二種電気工事士は、一般財団法人電気技術者試験センターが実施する国家試験です。合格すると、一般住宅・商店などの屋内配線や、小規模な太陽光発電設備など、「一般用電気工作物等」と呼ばれる設備の電気工事ができるようになります。

工場では、設備保全(機械や設備の点検・修理をする仕事)の入り口として評価されることが多い資格です。

第一種との違い

電気工事士には第一種と第二種があります。第二種でもできる工事に加えて、第一種は扱える範囲が広くなります。

第二種電気工事士 第一種電気工事士
扱える範囲 一般用電気工作物等(一般住宅・商店の屋内配線、小規模な太陽光発電設備など) 第二種の範囲に加えて、自家用電気工作物のうち最大電力500kW未満の需要設備(高圧受電の小規模ビル・工場など)
受験資格 なし。誰でも受験できる なし。誰でも受験できる
免状の有効期限 なし・更新不要 あり。5年ごとの定期講習が法令上の義務

工場で高圧受電の設備まで扱いたいなら第一種が必要になりますが、設備保全の入り口としては、まず第二種から取る人が多いです。第一種の方が第二種より合格率が低く、難易度が高い傾向があるという情報もありますが、この点は確度が高い一次資料までは確認できませんでした。

受験資格・試験の受け方

第二種電気工事士の受験に実務経験は必要ありません。学歴・年齢を問わず、誰でも受験できます。

試験は電気技術者試験センターにより、年2回(上期・下期)実施されます。令和8年度の日程は次のとおりです。

  • 上期:申込み受付2026年3月16日〜4月6日、学科試験(CBT方式)2026年4月23日〜6月7日の間で受験者が日時を選ぶ、学科試験(筆記方式)2026年5月24日、技能試験2026年7月18日または19日
  • 下期:学科試験(CBT方式)2026年9月24日〜11月8日、学科試験(筆記方式)2026年10月25日、技能試験2026年12月12日または13日

学科試験は、会場に集まって受ける「筆記方式」と、パソコンで受ける「CBT方式」のどちらかを選べます。

費用の目安

受験手数料は、インターネット申込みが11,100円、郵送申込みが12,500円です(令和8年度・非課税)。

技能試験の対策には、工具や練習用の材料も必要です。工具一式でおよそ20,200円、練習用の部材でおよそ34,200円かかるという例があります(教材メーカーの公開価格・税抜)。練習用の部材は受験に必須ではありませんが、合格のためにはほぼ必須と考えておいたほうがよいです。

受験料と合わせると、総額はだいたい6万円台半ば〜後半ほどが目安です(税抜ベース)。合格したあとは、免状の交付手数料として5,300円が別にかかります。この手数料は電気技術者試験センターではなく、免状を交付する都道府県が定めているものです。

勉強時間の目安

独学の勉強時間は、調べたサイトによって数字にかなり幅がありました。

  • 学科と技能を合わせて100〜200時間ほど(毎日1時間なら3〜7ヶ月、毎日1時間半なら2〜5ヶ月ほどが目安、という資格スクールの情報)
  • 初めて勉強する人で200時間前後(2〜3ヶ月ほど)、実務の経験がある人は100時間前後(1ヶ月ほど)という情報
  • 学科だけなら独学で50時間ほど、通信講座を使えば20時間ほどで済むという情報もあり

数字にばらつきがあるので、幅として見てください。だいたい「1〜3ヶ月、100〜200時間」を目安に、自分のペースで計画を立てるとよいです。

試験の中身・難易度・合格率

学科試験は、四肢択一のマークシート方式(またはパソコンで解答するCBT方式)です。試験時間は120分。一般問題が約30問、配線図の問題が約20問の、合計50問が出ます。合格の目安は60点程度です(配点の詳しい内訳は、今回確認した公式ページには記載がありませんでした)。「電気に関する基礎理論」「配電理論及び配線設計」など、全部で7つの科目から出題されます。

合格率は年度や時期で変わります。今回確認できた数字は次のとおりです。

年度・時期 学科試験の合格率 技能試験の合格率
令和6年度上期 約60% 約71%
令和6年度下期 約56% 約69%

技能試験の合格率は、上期が令和5年度73.2%→令和6年度71.0%→令和7年度72.0%、下期が令和5年度68.8%→令和6年度69.5%→令和7年度71.4%と、直近3年ではおおむね69〜73%の間で推移しています。

学科・技能とも、7割前後の人が合格する試験です。ただし技能試験は実際に配線などの作業をするので、工具の練習をくり返すことが合格の近道になります。

工場での資格手当・求人の時給の目安

工場が実際に支払う「資格手当」そのものの相場を示す公的なデータは、今回のリサーチでは見つかりませんでした。参考として、求人サイト「求人ボックス」の集計(2026年6月時点)による、職種全体の年収・時給の目安を紹介します。

  • 電気工事士の仕事:平均年収約446万円、派遣社員の平均時給1,682円ほど、アルバイト・パートの平均時給1,225円ほど
  • 設備保全の仕事:平均年収約435万円、アルバイト・パートの平均時給1,467円ほど、派遣社員の平均時給1,566円ほど

これは電気工事士・設備保全という職種全体の目安で、工場の資格手当そのものではありません。参考として、電気工事の求人852件を調べた別の調査では、資格手当を出す会社は62.7%、第二種電気工事士の手当は平均で月7,370円、いちばん多い額は月5,000円だったという結果もあります(2021年度・工事士.com調べ)。これは電気工事の求人での数字で、工場・製造現場ではまた事情が変わります。

いずれにしても、手当の有無・金額は会社によって大きく違います。実際に応募先の募集内容で確かめてください。

免状の有効期限・更新は?

第二種電気工事士の免状に、有効期限はありません。更新の手続きも、定期講習も必要ありません。返納しない限り、ずっと有効です。フォークリフトや玉掛けの技能講習修了証と同じ扱いです。

なお、第一種電気工事士は5年ごとの定期講習が法令上の義務になっている点が、第二種とは違います。

申し込みから免状交付までの流れ

電気技術者試験センターの公式サイトによると、令和8年度上期はだいたい次の流れで進みます。

  1. 申込みをする(2026年3月16日〜4月6日)
  2. 学科試験を受ける(CBT方式は期間内で日時を選べる。筆記方式は5月24日)
  3. 技能試験を受ける(7月18日または19日)
  4. 合格発表を確認する
  5. 免状の交付を申請する(住民票のある都道府県の窓口。東京都の場合は東京都電気工事工業組合)

免状の申請には、交付申請書・合格通知書の原本・手数料5,300円・返信用封筒・本人確認書類・証明写真が必要で、実務経験の証明は不要です。申請から交付までは、目安として約3週間〜1ヶ月ほどかかります。

次にやること

第二種電気工事士は、受験資格がなく誰でも挑戦できて、設備保全など次の仕事につながりやすい資格です。最後に、今日からできることを整理します。

  1. 試験日程を確認する。 電気技術者試験センターの公式サイトで、上期・下期どちらを受けるか決めましょう。CBT方式なら、期間内の都合のよい日時を選べます。
  2. 勉強の計画を立てる。 100〜200時間が目安です。1日1時間なら3〜7ヶ月ほどで準備できます。
  3. 技能試験の練習道具をそろえる。 工具一式・練習用部材で、あわせて5万円ほどかかります。早めに用意して、くり返し練習しましょう。
  4. 費用を用意する。 受験料11,100円(ネット申込み)に加えて、合格後の免状交付手数料5,300円もかかります。工具・部材とあわせて、総額6万円台半ば〜後半ほどが目安です。

どの資格から取るか迷っている人は、工場で稼げる資格の比較もあわせて読んでみてください。電気工事士以外の資格と、費用や難易度を見比べられます。設備保全やAI時代の働き方を考えたい人は、工場の仕事はAIでなくなる?もどうぞ。

参考にした情報

一般財団法人電気技術者試験センターの公式サイトを中心にまとめました(取得は2026年7月)。金額や日程は変わることがあるため、最新の情報は公式サイトで確認してください。