特定粉じん作業の特別教育とは|対象の仕事・費用・日数

「特定粉じん作業主任者」を取りたくて、費用や日数を調べている人もいると思います。でも、この名前の資格は実は存在しません。

金属研磨や鋳物、ガラス工場などで本当に必要になるのは「特別教育」という別の仕組みです。対象の作業・受け方・費用・日数を、公開情報をもとに整理しました。

「特定粉じん作業主任者」という資格はあるのか

先に結論を書きます。「特定粉じん作業主任者」という名前の国家資格は、公開されている一覧の中にはありません。

作業主任者とは、決められた危険な作業のときに現場で指揮をする役割の人のことです。有機溶剤(有機溶剤作業主任者)や特定化学物質(特定化学物質作業主任者)など、全部で20種類以上あります。中央労働災害防止協会(労働災害を防ぐための公的な団体)が出している一覧を見ても、「粉じん」の作業主任者は載っていません。

その代わりに法律で決まっているのは、「特定粉じん作業に係る特別教育」です。作業主任者のように現場を指揮する役ではなく、その作業をする人自身が受ける教育です。

「特定粉じん作業主任者」を目指していた人は、実際にはこの特別教育のことを探していた、というケースが多いと考えられます。ここから先は、この特別教育について説明します。

特定粉じん作業の特別教育とは

会社は、粉じんが多く出る危険な作業(特定粉じん作業)に人をつかせる前に、その人へ特別教育を受けさせる決まりになっています。根拠は粉じん障害防止規則という国のルールです。

教育の中身は次の5つです。

  • 粉じんを減らして換気する方法
  • 作業場の管理のしかた
  • 呼吸用保護具(マスクのこと)の使い方
  • 粉じんで起きる病気と健康管理
  • 関係する法律

どんな工場・作業で必要になるか

特定粉じん作業は、粉じんが特に多く出る作業のことです。次のような工場・作業が当てはまることがあります。

  • 鋳物工場で、型をばらしたり、砂を落としたりする作業
  • ガラスやほうろうを作る工場で、原料を混ぜる作業
  • 陶磁器・耐火物(火に強い材料)の原料を混ぜたり形にしたりする作業
  • 屋内で研磨材を吹き付けて磨く作業
  • 屋内で鉱物などを砕く作業

どの作業が当てはまるかは、工場の設備ややり方によって変わります。自分の仕事が対象かどうかは、会社や労働基準監督署に確認してください。

誰が受けられるか

学歴や経験は関係なく、誰でも受けられます。

ただし、実際にこの作業につくのは満18歳以上と決まっています。粉じんが多く飛び散る場所での仕事は、18歳未満の人にさせてはいけないルールがあるからです。

受け方と時間割

この教育は、実技はなく座学だけです。国のルールで、合計4時間30分以上と決まっています。多くの実施団体では1日で終わります。

内容 時間
粉じんを減らして換気する方法 1時間
作業場の管理のしかた 1時間
呼吸用保護具の使い方 30分
粉じんで起きる病気と健康管理 1時間
関係する法律 1時間

会社が自分で行うこともできますが、実際には労働基準協会などの団体が開く講習会を受ける人が多いです。

費用の目安

団体によって費用に差があります。確認できた4団体の例は次のとおりです(2026年7月時点)。

実施団体 費用(税込)
愛知労働基準協会(会員) 6,980円
愛知労働基準協会(非会員) 8,780円
労働技能講習協会 東京本部 9,500円
中小建設業特別教育協会 9,900円
静岡県労働基準協会連合会 12,650円

だいたい7,000円〜13,000円程度(2026年7月時点・4団体の公式サイトより)とみておくと安心です。正確な金額は、近くの労働基準協会や技能講習の団体に直接確認してください。

修了試験・更新は必要か

確認できた団体のページでは、修了試験があるという記載は見つかりませんでした。決められた時間の講習を受ければ、その場で修了証がもらえる団体が多いようです。

修了証の有効期限や更新については、確認できませんでした。会社や講習を受けた団体に聞くのが確実です。

似た資格との違い

有機溶剤作業主任者や特定化学物質作業主任者は、「技能講習」という2日間の講習を受けます。学科が12時間、最後に修了試験が1時間あり、あわせて約13時間です。合格すると、会社はその人を作業主任者として選ぶ決まりです。

一方、特定粉じん作業の特別教育は、1日・4時間30分以上で試験はなく、作業主任者のような役職でもありません。

項目 有機溶剤作業主任者など 特定粉じん作業の特別教育
種類 技能講習(作業主任者) 特別教育
会社が選ぶ役職か はい いいえ
試験 あり 確認できず
講習時間 学科12時間+修了試験(2日間) 4時間30分以上(1日)

なお、同じ「粉じん」でも石綿(アスベスト)を扱う作業は別のルール(石綿障害予防規則)があり、こちらには「石綿作業主任者」という正式な資格があります。粉じんと石綿は別のものとして扱われている点に注意してください。

資格手当はもらえるか

今回調べた範囲では、この特別教育を受けた人向けに資格手当の金額をはっきり書いている求人は見つかりませんでした。

そもそもこの教育は、会社が法律で受けさせる決まりになっているものです。費用は会社が負担するのが基本の形です。手当が出るかどうかは、会社によって違うと考えておくのがよさそうです。

粉じんが原因で起きる病気(じん肺)については、法律で決められた健康診断を受ける決まりがあります。詳しくは厚生労働省や労働局の公式サイト、勤務先の担当者に確認してください。

次にやること

  • 求人票や会社の案内で「特定粉じん作業主任者」と書かれていたら、正式には「特定粉じん作業の特別教育」のことかもしれません。担当者に講習名を確認しましょう。
  • 鋳物・ガラス・陶磁器・耐火物の工場で働く予定がある人は、入社後にこの特別教育を受けさせてもらえるか、会社に聞いておくと安心です。
  • 資格手当が気になる場合は、応募前にハローワークや採用担当に直接たずねてみましょう。
  • ほかにも工場で役立つ資格を知りたい人は、工場で稼げる資格の比較もあわせて読んでみてください。