一級ボイラー技士の取り方|受験資格・費用・二級との違い

「二級ボイラー技士を持っているなら、一級もついでに取れるのでは」。そう思っている人もいるかもしれません。でも一級は、二級のように誰でも受けられる資格ではありません。受けられる人が決まっていて、免許をもらうにも条件があります。

この記事では、一級ボイラー技士の受験資格・試験内容・費用・難易度を、公開されている情報から整理しました。二級との違いを中心に見ていきます。

先に結論

急いでいる人は、ここだけでも。

  • 一級ボイラー技士は、二級より大きなボイラー(伝熱面積25〜500㎡未満)の責任者になれる資格です。上位の級ほど、下の範囲もあわせて扱えます。
  • 誰でも受けられるわけではありません。二級ボイラー技士を持っているか、決められた学歴・関連資格が必要です。
  • 二級から進む場合、試験に受かっても、それだけでは免許はもらえません。二級取得後に2年以上の実務経験(または1年以上の作業主任者経験)が必要です。
  • 学科試験の合格率は、年度によって差があります。二級(近年50〜55%ほど)より、一級(近年44〜51%ほど)の方がやや低めの年が多いです。
  • 求人の給料は、二級より高めの傾向があります(求人ボックスの集計で一級は平均月給31.4万円、二級は27.4万円、2026年8月時点)。

一級ボイラー技士とは何ができる資格か

ボイラーとは、水を火やガス、電気で温めて、お湯や蒸気を作る装置のことです。工場では機械を動かす蒸気や、加熱・殺菌の熱に使われます。病院・ホテル・商業施設の冷暖房や給湯にも使われている、はば広い設備です。

労働安全衛生法という法律で、一定の大きさ以上のボイラーは、免許を持つ人でないと取り扱えないと決まっています。さらに、職場ではボイラーを扱う責任者(ボイラー取扱作業主任者)を、免許を持つ人の中から選ぶ決まりもあります。

責任者になれる範囲は、扱うボイラーの大きさ(伝熱面積という、熱を伝える部分の面積)で決まります(出典:厚生労働省 ボイラー及び圧力容器安全規則、日本ボイラ協会)。

責任者になれるボイラーの最大の大きさ
二級 伝熱面積25㎡未満
一級 伝熱面積25㎡以上〜500㎡未満
特級 伝熱面積500㎡以上

上位の級は、下の範囲もあわせてカバーします。一級を持っていれば、25㎡未満の小さいボイラーの責任者にもなれます。一級は、二級より一回り大きな中規模〜大型のボイラーまで扱える資格です。工場だけでなく、規模の大きな病院やホテル、商業施設の設備管理にも関わります。

なお、貫流ボイラーだけを扱う場合は、伝熱面積の計算方法が変わり、実質の目安は250㎡になります(250㎡未満なら二級でも扱える計算)。廃熱ボイラーにも別の計算方法があります。細かい計算は、日本ボイラ協会の解説ページで確認してください。

受験資格は誰でも受けられるわけではない

二級ボイラー技士は、学歴も実務経験もなく誰でも受験できます。しかし一級は違います。安全衛生技術試験協会によると、受験できるのは次のいずれかに当てはまる人だけです。

  • 二級ボイラー技士免許を受けた者
  • 大学等でボイラーに関する学科を修めて卒業後、1年以上の実地修習を経た者
  • エネルギー管理士(熱)の免状を受けた後、1年以上の実地修習を経た者
  • 海技士(機関1級・2級・3級)の免許を受けた者
  • ボイラー・タービン主任技術者免状を受け、伝熱面積25㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある者
  • 汽かん係員試験に合格し、伝熱面積25㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある者

出典:一級ボイラー技士(安全衛生技術試験協会)

実際には、「二級ボイラー技士免許を受けた者」として受験する人がほとんどです。二級を持っていれば、実務経験なしで試験そのものは受けられます。

ただし、ここが一番の注意点です。二級から進む場合、試験に合格しただけでは、一級の免許はもらえません。 日本ボイラ協会によると、免許を申請するには、二級取得後に次のどちらかの実務経験が必要です。

  • 2年以上、ボイラー(小規模・小型ボイラーを除く)を取り扱った経験
  • 1年以上、ボイラー取扱作業主任者としての経験

(大学等でボイラーに関する学科を修めて実地修習を積んだ人など、他の受験資格ルートで試験に合格した場合は、この実務経験なしで免許を申請できます。)

出典:一級ボイラー技士免許の取得について(日本ボイラ協会)

つまり、二級から一級を目指す人にとっては「試験に受かる」ことと「免許をもらう」ことは別です。免許を申請するときに、実務経験を証明する書類を添える必要があります。二級で用意されている20時間の実技講習は、一級の免許要件としては使えません(実技講習は二級免許専用の制度です)。

まとめると、二級から一級の免許を取るまでの流れは、次のようになります。

  1. 二級ボイラー技士免許を取得する
  2. 二級免許を持った状態で、一級の学科試験に合格する
  3. 二級取得後、2年以上の実務経験(または1年以上の作業主任者経験)を積む
  4. 実務経験の証明書を添えて、一級ボイラー技士免許を申請する

3の実務経験は、学科試験の前でも後でも積めますが、免許をもらうには必ず必要です。「二級を取ってすぐに一級の免許まで取れる」わけではない、という点が二級との一番の違いです。

試験の内容と合格基準

試験科目・出題数は、二級と同じ考え方です(出典:安全衛生技術試験協会)。

科目 出題数
ボイラーの構造に関する知識 10問
ボイラーの取扱いに関する知識 10問
燃料及び燃焼に関する知識 10問
関係法令 10問

合計40問(各100点、合計400点)、試験時間は4時間です。合格基準は「科目ごとに40%以上、かつ全体で60%以上」。全体で6割取れていても、1科目でも4割を切ると不合格になるので、苦手科目を作らないことがポイントです。

費用の目安

一級の学科試験そのものは、二級と同じ受験手数料です。すでに二級免許を持っている人が一級を受ける場合、費用の目安は次のとおりです。

項目 金額の目安
学科試験の受験手数料 8,800円(非課税)
免許申請手数料 約1,450〜1,900円程度
合計目安 約1万〜1.1万円

一級には二級のような実技講習がないため、講習料はかかりません。

出典:試験手数料(安全衛生技術試験協会)

ゼロから二級→一級まで順番に取る場合、二級の受験料・実技講習・テキスト代(合計3.5万〜4.2万円ほど)に、一級の費用(約1万〜1.1万円)を足した、合計4.5万〜5.3万円くらいが目安になります。金額は年度によって変わることがあるので、申し込み前に試験協会や日本ボイラ協会のサイトで最新を確認してください。

難易度・合格率は二級よりやや低めの年が多い

安全衛生技術試験協会の公表データによると、直近3年度の合格率は次のとおりでした。

年度 一級 二級
2025年度(令和7年度) 約50.5%(受験4,372人・合格2,207人) 52.9%(受験21,349人・合格11,303人)
2024年度(令和6年度) 約43.8%(受験4,340人・合格1,900人) 53.8%
2023年度(令和5年度) 約49.6%(受験4,535人・合格2,248人) 54.7%

出典:合格率(安全衛生技術試験協会)

こうして並べると、一級は二級よりおおむね44〜51%ほどとやや低めの年が多く、2025年度はたまたま二級(52.9%)に近い数字(約50.5%)になった、という見方が正確です。半数前後が受かる計算で、極端に難しい試験ではありませんが、二級よりは一段階狭き門と考えておくとよさそうです。

一級は、受験者数が二級の5分の1程度と少なく、すでに二級を持つ人・実務経験がある人が受けています。試験科目そのものの難しさに加えて、「受験資格を満たすまでのハードル」も、二級との違いといえます。

資格手当と求人の給料

求人ボックスの集計(2026年8月17日時点)では、平均月給に次のような差がありました。

  • 一級ボイラー技士:平均月給31.4万円(求人5,838件)
  • 二級ボイラー技士:平均月給27.4万円(求人8,271件)

出典:ボイラー技士 1級の資格を活かせる仕事・求人情報(求人ボックス)ボイラー技士 2級の資格を活かせる仕事・求人情報(求人ボックス)

建職バンクでは、一級ボイラー技士の平均年収510万円(正社員に限ると約537万円、契約社員は約339万円)という数字もありました。サイト自身が「集計方法によって他社データと異なる場合がある」と注記しているので、目安として見てください(出典:建職バンク)。

一級ボイラー技士の求人は、総合体育館の設備運転監視、病院の設備管理、商業施設や高級レジデンスの空調・電気・給排水設備の運転管理などで見られました。

資格手当については、解説サイトによって金額の幅がかなりばらつきます。「二級1,000円・一級2,000〜4,000円」とする記事もあれば、「ボイラー技士全般で月1万〜3万円」とする記事もありました。二級より一級の方が高めという傾向はどのサイトでも共通していますが、具体的な金額は会社によって差が大きいので、求人票での確認が確実です。

特級へのステップアップ

もっと大きな設備を扱いたいなら、特級への道もあります。日本ボイラ協会によると、特級ボイラー技士の受験資格は「一級ボイラー技士の免許を有する者」など(実務経験は問われません)。ただし、免許を実際にもらうには、一級取得後に次のどちらかの実務経験が必要です。

  • 実務経験5年以上(通常のボイラー取扱経験)
  • 実務経験3年以上(ボイラー取扱作業主任者としての経験)

出典:特級ボイラー技士免許の取得について(日本ボイラ協会)

つまり一級と同じ構造で、「一級を持っていれば試験は受けられるが、免許をもらうには実務経験が必要」という流れです。特級を取ると、伝熱面積500㎡以上の大きなボイラーでも取扱作業主任者になれます(一級は500㎡未満まで、二級は25㎡未満までが範囲でした)。発電所や大規模プラントなど、より大きな設備の責任者を目指せます。二級→一級→特級と、実務経験を積みながら段階的にステップアップしていくのが、この資格の一般的な進み方です。

確認できなかったこと

  • 一級ボイラー技士の2022年度以前の合格率は、安全衛生技術試験協会の一次資料で確認できませんでした(2023〜2025年度分は確認できました)。
  • 免許申請手数料の正確な金額は、公式サイトでの直接確認ができませんでした。
  • 一級ボイラー技士の資格手当を「月◯円」と言い切れる公式な統計は見つかりませんでした。

次にやること

一級ボイラー技士は、誰でも受けられる資格ではない分、二級との違いをつかんでおくことが大切です。今日からできることをまとめます。

  1. 自分がすでに二級ボイラー技士を持っているか、受験資格の条件に当てはまるかを確認する。
  2. 二級を持っていない場合は、まず二級ボイラー技士の取り方から確認する。
  3. 二級を持っている人は、実務経験(2年、または作業主任者1年)がどれくらい積めているかを確認し、日本ボイラ協会の支部で試験日程を調べる。
  4. どの資格から取るか迷うなら、工場で稼げる資格の比較で、費用や難易度を横並びで見比べる。

受験資格や免許交付の条件が細かい資格なので、申し込み前に安全衛生技術試験協会や日本ボイラ協会の公式サイトで、自分のケースに当てはまる条件を確認してから動いてみてください。

参考にした情報

安全衛生技術試験協会・日本ボイラ協会の公式サイトを中心に、求人サイトの公開情報もあわせてまとめました(取得は2026年8月)。金額や制度は変わることがあるため、最新の情報は各団体の公式サイトで確認してください。