第三種冷凍機械責任者の取り方・費用・難易度|求人の給料も

「資格を取りたいけど、勉強からしばらく離れていて自信がない」。そんな人でも手が届きやすいのが、第三種冷凍機械責任者(通称・三冷)です。受験資格はなく、講習を使えば本番の試験を1科目だけにできます。

三冷は、冷凍倉庫や食品工場にある大きな冷凍・冷蔵設備の保安を任される国家資格です。何ができて、いくらで、どれくらい難しいのか。取ったあとの求人や資格手当はどうか。高圧ガス保安協会など公的な情報をもとに、ひとつずつ見ていきます。

第三種冷凍機械責任者とはどんな資格か

第三種冷凍機械責任者は、高圧ガス保安法という法律にもとづく国家資格です。冷凍のために高圧ガスを使う設備、つまり大きな冷凍・冷蔵設備の保安(安全を守る管理)を担います。

高圧ガス保安協会(試験を行う団体。以下KHK)の説明では、三冷が扱えるのは「1日の冷凍能力が100トン未満の製造施設」の保安です。冷凍能力とは、その設備がどれだけ冷やす力を持つかを表す単位だと思ってください。

こうした設備がある職場は、意外と身近にあります。

  • 冷凍・冷蔵倉庫
  • 冷凍食品などを作る食品工場
  • 化学工場や製氷工場
  • 大きな空調・冷凍設備をもつビル

ライン作業や倉庫作業をしている人が、設備を守る側の仕事へ移るときの足がかりになる資格です。設備を守る仕事そのものについては、こちらでも書いています。→ 設備保全の仕事|将来性・未経験からのなり方・役立つ資格

受験資格・試験の受け方

三冷のいいところは、受験資格がないことです。年齢・学歴・実務経験は問われません。今の仕事が工場でも倉庫でも、まったくの未経験でも受けられます。

試験は年に1回、11月にあります。KHKの案内では、令和8年度の試験は令和8年11月8日(日)です。申し込みは、その年の8月中旬から9月初めごろに受け付けます(電子申請の場合)。

試験科目は次の2つです。

  • 法令:高圧ガスを扱うときの決まりごと。
  • 保安管理技術:冷凍設備のしくみや、安全に使うための知識。

第一種・第二種には「学識」という計算問題中心の科目がありますが、三種にはありません。科目が2つだけなのは、三冷が受けやすいと言われる理由の1つです。

費用の目安

かかるお金は、試験の受験料と、あとで説明する講習を受けるかどうかで変わります。まず基本の受験料から見ます。

項目 金額 補足
受験料(電子申請) 9,800円 インターネットで申し込む場合
受験料(書面申請) 10,300円 紙の書類で申し込む場合

※2026年(令和8年度)時点・KHK公式より。

このほかに、テキスト代(参考書代)が別途かかります。受験料だけなら1万円前後で受けられる、比較的お金のかからない国家資格です。

講習を使うと試験科目を減らせる

三冷には、試験だけで取る方法のほかに、「講習」を使う方法があります。少しお金はかかりますが、本番の試験を楽にできるしくみです。

KHKが行う第三種冷凍機械講習を受けて、講習の最後にある検定試験に合格すると、11月の本試験で「保安管理技術」の科目が免除になります。つまり本試験では「法令」の1科目だけ受ければよくなります。

講習の中身はこうです。

  • 講習時間は合計21時間(法令7時間+保安管理技術14時間)。
  • 受講受検料は17,500円(税込・2026年時点)。この中に講習の検定試験の受検料も含まれます。テキスト代は別です。
  • 検定試験は「保安管理技術」1科目だけ。ただし、この検定を受けるには法令も含めて全部の講義を受ける必要があります。

2つのルートを並べると、こうなります。

ルート かかるお金の目安 本試験で受ける科目
試験だけ 受験料9,800円+テキスト代 法令+保安管理技術の2科目
講習+試験 講習17,500円+受験料9,800円+テキスト代 法令の1科目だけ

お金をかけずに2科目とも受けるか、お金をかけて本番を1科目に減らすか。勉強が久しぶりで不安な人は、講習ルートを選ぶことが多いようです。

難易度・合格率

三冷は国家資格の中では受けやすい部類と言われますが、しっかり対策は必要です。

KHKが公表している令和6年度(2024年度)の結果では、試験だけで受けた人(全科目受験)の合格率は36.1%でした(受験7,605人・合格2,744人)。合格率は年によって変わり、近ごろは3〜4割程度で推移しています。

この数字は「2科目とも試験で受けた人」のものです。講習を使って本試験を法令1科目に減らせば、受ける科目そのものが減るので、負担は小さくなります。

参考までに、1つ上の第二種冷凍機械責任者は、同じ年の全科目受験の合格率が28.4%でした。三種のほうが受けやすいことが数字にも表れています。

※合格率は年度で変わります。最新は必ずKHKの公式サイトで確認してください。

第二種・第一種との違い

冷凍機械責任者には一種・二種・三種があり、扱える設備の大きさが違います。KHKの区分は次のとおりです。

資格 扱える設備(1日の冷凍能力)
第三種 100トン未満
第二種 300トン未満
第一種 制限なし(すべての冷凍設備)

まずは三種から取って、より大きな設備を扱う職場を目指すなら二種・一種へ進む、という順番が一般的です。最初の1枚としては三種で十分です。

工場で使う定番の資格を横並びで比べたい人は、こちらも参考にしてください。→ 工場で稼げる資格を費用・日数・手当・難易度で比較

同じ設備系の国家資格では、二級ボイラー技士もよく一緒に挙がります。→ 二級ボイラー技士とは?取り方・費用・難易度と求人のいま

資格手当・求人の給料の目安

取ったあとの給料も気になるところです。求人サイト「求人ボックス」の集計で見てみます。これは各社の掲載求人から計算した目安で、国の統計ではなく、月ごとに数字が変わります(2026年7月時点)。

「第3種冷凍機械責任者」に関連する求人の平均月給は約29.1万円で、幅は21.4万円くらいから57.8万円くらいまででした。冷蔵倉庫やビルの設備管理などで、この資格を手当の対象にしている会社もあります。

ただし、三冷1つだけで給料が大きく上がるというより、設備保全や電気の資格と組み合わせて評価される資格です。食品工場や冷蔵倉庫で働きながら、まず1枚目として取るのがおすすめです。食品工場の仕事は、こちらでくわしく書いています。→ 食品工場の仕事はきつい?作業内容・時給・楽な部署の選び方

申し込みから免状交付までの流れ

最後に、申し込みから資格を手にするまでの流れをまとめます。

  1. 8月中旬〜9月初め:申し込み(電子申請)。講習ルートを使う場合は、講習の申し込みは別に早めに行います。
  2. 11月:試験(年1回)。
  3. 12月中旬ごろ:合格発表。
  4. 合格後:免状の交付を申請します。三種は都道府県が行う試験なので、免状も都道府県知事から交付されます。申請先や手数料は住んでいる都道府県で確認してください。

次にやること

不安なままにせず、小さいことから1つ始めてみてください。

  1. KHKの公式サイトを見る:受験料・試験日・講習の日程は、高圧ガス保安協会の公式サイトが確実です。まず一度ながめてみましょう。
  2. 試験だけか講習かを決める:勉強に自信があるなら試験だけ(受験料1万円前後)。本番を1科目に減らしたいなら講習ルート(+17,500円)。
  3. テキストを1冊用意する:法令と保安管理技術の入門テキストを1冊決めて、過去問から始めます。
  4. 職場の手当を確認する:今の会社に資格手当があるか、就業規則や上司に聞いてみる。あるなら受験費用の元が取れることもあります。

全部を一度にやる必要はありません。まずは1番、公式サイトを見るところからで大丈夫です。

参考にした情報

  • 高圧ガス保安協会(KHK)「国家試験の試験科目・受験料」「試験の申込」「冷凍機械責任者が扱える範囲」(2026年7月時点)
  • 高圧ガス保安協会「高圧ガス製造保安責任者講習(冷凍)」「講習のご案内」(受講受検料・講習時間・科目免除のしくみ)
  • 高圧ガス保安協会「令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)一覧表」(第三種・第二種の合格率)
  • 求人ボックス 給料ナビ「第3種冷凍機械責任者の仕事」(2026年7月時点)