はい作業主任者の取り方・費用・難易度|倉庫・工場の資格

「はい作業」と聞くと、返事の「はい」を思い浮かべる人もいるかもしれません。実はこれ、倉庫や工場で高く積み上げた荷物の山を指す言葉です。その作業を安全に進めるための資格が「はい作業主任者」です。どうやって取るのか、費用や日数はどれくらいか。公開情報をもとに整理しました。

はい作業主任者とは

「はい作業主任者」は、法律(労働安全衛生法)で決まっている国家資格です。

ここで言う「はい」とは、袋や箱、木材などを倉庫や置き場に積み重ねた荷物の山のことです。小麦や大豆、鉱石のようにバラバラの状態で積んだものは含みません(出典:福井労働局)。

この資格を持つ人は、次のような仕事をします(出典:福井労働局)。

  • 荷物を積む・崩す作業の順番とやり方を決めて、作業員に指示する。
  • 使う道具を点検し、壊れているものを取り除く。
  • 近くを通る人が安全に通れるように指示する。
  • 荷物を崩す前に、崩れそうなところがないか確認する。
  • 作業する場所が床から1.5メートルより高いときは、はしごなどの設備やヘルメットをちゃんと使っているか見張る。

つまり、荷物を積む作業そのものではなく、その作業が安全に進むように現場を指揮する役目です。

資格が必要になる作業の基準

法律(労働安全衛生規則第428条)では、高さ2メートル以上の荷物の山を積んだり崩したりする作業では、この資格を持つ人を必ず選ばなければならないと決まっています(フォークリフトなどの機械を運転する人だけで作業する場合を除きます。出典:福井労働局)。

対象になるのは、倉庫や工場、港湾などで荷物を高く積み上げる仕事です。

もし会社がこの資格を持つ人を選ばずに作業をさせた場合、法律違反になります。罰則として、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています(出典:労働安全衛生法第119条)。それだけ、安全のために必要とされている資格です。

講習を受けられる条件

誰でもすぐに受けられる講習ではありません。次の条件が必要です(出典:コベルコ教習所、東京労働基準協会連合会)。

  • 荷物を積む・崩す作業に3年以上たずさわった経験があること(共通の条件です)。
  • 満18歳以上としている講習機関が多くあります(機関によっては年齢の記載がない場合もあります)。
  • その経験を、働いていた会社に証明してもらう書類が必要(複数の会社で経験を積んだ場合は、それぞれの会社から証明をもらう)。

つまり、まずは倉庫や工場で荷物を積む仕事の経験を積むことが先です。未経験からいきなり取れる資格ではありません。

取り方・講習の流れ

講習は2日間で、机に座って学ぶ「学科」だけです。実技(実際に体を動かす練習)はありません。内容の内訳は、次のとおりです(出典:東京労働基準協会連合会、愛知労働基準協会)。

科目 時間
はいに関する知識 3時間
人の手で行う作業の知識 5時間
機械を使う荷役の知識 3時間
関係する法律 1時間
修了試験 1時間

合計で12〜13時間くらいです。最後に1時間の試験があり、受かると修了証がもらえます。

講習を開いているのは、各都道府県の労働基準協会や、陸上貨物運送事業労働災害防止協会(りくさいぼう)の支部などです。全国で受けられますが、開かれる回数は地域によって差があります。たとえば福島県では年10回くらい、宮城県では仙台で年6回くらい開かれています(2026年度・出典:陸災防福島県支部、陸災防宮城県支部)。

費用・日数の目安

受講料は、講習を開く団体によって差があります。公開情報で確認できた例は、次のとおりです(2026年9月時点)。

実施機関 受講料 テキスト代
東京労働基準協会連合会 14,850円 別途1,980円
愛知労働基準協会 11,300円 別途1,980円(合計約13,280円)
陸災防 福島県支部 15,020円 別途1,980円(合計約17,000円)
陸災防 富山県支部 18,020円 別途1,980円(合計約20,000円)
陸災防 宮城県支部 13,200円 非会員のみ1,980円必要(陸災防会員の事業所はテキスト無料)

だいたい1万3,000円〜2万円くらい(テキスト代を入れて・2026年9月時点)が目安です。日数はどこも2日間です。宮城県支部は2026年度から受講料が変わったばかりなので、確認した時点の金額として見てください。値段や日程は変わることがあるので、申し込む前に受講する団体のサイトで確認してください。

修了試験の難易度

学科の最後に1時間の試験があります。ただ、合格率を公式に発表している団体は見つかりませんでした。2日間しっかり講習を受ければ対応できる内容とされていますが、数字での裏付けはありません。

フォークリフト・玉掛けとの違い

はい作業主任者は「作業の順番を決めて、安全を見張る責任者」の資格です。フォークリフトを運転するための資格(フォークリフト運転技能講習)や、クレーンに荷物をかけるための資格(玉掛け技能講習)とは役目が違います。

フォークリフトを使って荷物を積む現場も多いので、フォークリフトの資格とあわせて持っていると、働ける場所が広がると言われています(出典:コベルコ教習所)。フォークリフトの資格については、こちらの記事で取り方や費用をまとめています。→ フォークリフト免許の取り方・費用・時給

資格手当・求人時給の目安

公開されている求人を見ても、この資格の手当がいくらか、金額まで書いているものは見つかりませんでした。ネット上には、資格を取っただけでは手当が出ず、会社から正式に「作業主任者」として選ばれて初めて手当が出た、という書き込みもありました(個人の体験談であり、制度として決まっているわけではありません)。

求人サイトで「はい作業主任者」に関係する倉庫・物流の仕事を探すと、2026年9月時点で約1,200件の求人がありました。埼玉・東京・神奈川・千葉・兵庫・北海道などに多く、月給は18万5,000〜27万円くらい、時給は1,250円くらいからという例が見つかりました(この資格を必ず持っている必要がある求人だけをまとめた数字ではありません。出典:求人ボックス)。

比べてみると、フォークリフトの求人は月給21万〜44万円くらい・時給1,400〜2,375円くらい、玉掛けの求人は月給20万〜38万円くらい・時給1,250〜3,375円くらいでした。どちらも「資格手当あり」と書かれた求人はありましたが、金額まで書かれたものは見つかりませんでした。

倉庫・物流の仕事は人手不足が続いています。政府の資料では、対策をしなければ2030年度に運ぶ力が最大で3割5分(約35%)くらい足りなくなる可能性があるとされています(出典:内閣府)。この資格だけに絞った不足の数字はありませんが、業界全体として人が求められている状況です。

次にやること

はい作業主任者に興味を持った人は、次の3つをやってみましょう。

  1. 今の職場で、荷物を積む作業の実務経験を積む。 この資格は3年以上の実務経験がないと受講できません。まずは経験と、会社からの証明をもらえる状態を作りましょう。
  2. お住まいの都道府県の労働基準協会や陸災防のサイトで、講習の日程と費用を確認する。 団体によって値段や開催回数が違うので、通いやすい場所を探しましょう。
  3. フォークリフトの資格もあわせて検討する。 一緒に持っていると、働ける現場の幅が広がります。フォークリフト免許の取り方・費用・時給も参考にしてください。

参考にした情報

福井労働局・労働安全衛生法の公開資料、各地の労働基準協会・陸上貨物運送事業労働災害防止協会の公式サイト、求人ボックス、内閣府の公開資料をもとにまとめました(取得は2026年9月)。費用・日程・求人の内容は変わることがあるため、最新の情報は各サイトで確認してください。