溶接資格の種類と費用・難易度|工場求人の時給も

工場の求人を見ていると、「アーク溶接特別教育修了者歓迎」「溶接資格保有者優遇」など、いろいろな名前の資格が出てきます。溶接は資格が1つではないので、どれを取ればいいのか分かりにくいところがあります。

この記事では、溶接に関する資格の種類と、それぞれの費用・日数・難易度を、公的機関や教習機関の公開情報からまとめました。未経験からどの順番で取ればいいかや、資格手当・求人時給の目安も、公開情報で確認できた範囲で紹介します。

溶接の資格は1つじゃない?まず種類を整理

溶接に関する資格は、大きく3つに分かれます。

  1. アーク溶接等の業務に係る特別教育 … 未経験者の入口になる法定の資格
  2. ガス溶接技能講習 … ガスを使う溶接に必要な法定の資格
  3. JIS溶接技能者評価試験 … 溶接の技量を証明する資格

1と2は、その業務をするために法律で義務づけられている資格です。工場でアーク溶接やガス溶接の仕事に就く場合、まずこのどちらか(または両方)が必要になります。

3のJIS溶接技能者評価試験は、義務ではなく、腕前を証明するための資格です。求人で「JIS溶接技能者資格保有者歓迎」と書かれることがあります。

まずは1・2の法定資格から順番に見ていきます。

アーク溶接等の業務に係る特別教育(未経験者の入口)

アーク溶接機を使って金属を溶接・溶断する業務に就くには、「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を受ける必要があります。労働安全衛生法第59条第3項・同法施行規則第36条第3号で決められている、法定の資格です。

日数・時間の目安:法律で決まっているのは時間数で、学科11時間+実技10時間以上=合計21時間以上です。日数の組み方は教習機関によって違いますが、3日間の日程で実施しているところが多くあります。

  • 学科:11時間ほど(溶接に関する知識1時間、溶接装置の知識3時間、溶接作業の知識6時間、関係法令1時間)
  • 実技:10時間以上

受講資格:満18歳以上が対象です。年少者保護の規定により、18歳未満は受講できません。

費用の目安:教習機関によって差が大きく、確認できた例では12,710円〜25,800円ほどでした(2026年6月時点)。同じ講習でも、実施団体や地域、会員・非会員の別で金額が変わるので、申し込み前に総額を確認してください。

ガス溶接技能講習(特別教育との違い)

可燃性ガスと酸素を使って金属を溶接・溶断・加熱する業務には、「ガス溶接技能講習」が必要です。労働安全衛生法施行令第20条第10号で決められています。

日数・時間の目安:合計13時間ほど(学科8時間+実技5時間)で、アーク溶接の特別教育(21時間以上)より短めです。修了試験の時間を別に加算する教習機関もあるので、実際にかかる時間は申し込み先で確認してください。

  • 学科:8時間ほど(設備の構造・取扱い4時間、可燃性ガス及び酸素の知識3時間、関係法令1時間)
  • 実技:5時間

受講資格:法律上の年齢制限はありませんが、実際にはほとんどの教習機関が18歳以上を受講条件にしています。18歳未満は、修了証ではなく受講証明のみの発行になることが多いです。

費用の目安:東京会場の例で1.4万円ほど(税込・テキスト代込み、2026年6月時点)。

工場でどちらが必要かは、使う溶接機の種類で決まります。アーク溶接機を使うなら特別教育、ガス溶接機を使うならガス溶接技能講習です。両方の作業がある職場では、両方の資格を求められることもあります。

3つの資格をまとめて比較

アーク溶接等の特別教育 ガス溶接技能講習 JIS溶接技能者評価試験
何のための資格か アーク溶接機を使う業務に就くための法定資格 可燃性ガス+酸素を使う溶接・溶断・加熱業務に就くための法定資格 溶接の技量を証明する資格
受講・受験資格 満18歳以上 法律上の制限なし(実際は18歳以上が中心) 基本級:満15歳以上+溶接経験1か月以上/専門級:基本級取得後、溶接経験3か月以上
日数・時間の目安 21時間以上ほど(学科11時間+実技10時間以上) 13時間ほど(学科8時間+実技5時間) 確認できなかった(試験区分により異なる)
費用の目安 12,710円〜25,800円ほど だいたい1.4万円ほど(東京会場の例) 確認できなかった

※2026年6月時点・各団体の公開情報から。金額や日数は教習機関・地域によって変わります。

JIS溶接技能者評価試験(受験資格・試験の中身)

JIS溶接技能者評価試験は、一般社団法人日本溶接協会(JWES)が実施している試験です。JIS・WES規格にもとづいて、溶接の技量を評価・認証する制度です。

この試験には区分がいくつもあります。確認できた主な区分は次のとおりです。

  • 手溶接(アーク溶接など)
  • 半自動溶接
  • ステンレス鋼溶接
  • チタン溶接
  • プラスチック溶接
  • 銀ろう付
  • すみ肉溶接
  • 石油工業関係溶接
  • 基礎杭溶接

工場での仕事に関係が深いのは、主に手溶接・半自動溶接・ステンレス鋼溶接あたりです。自分の仕事内容に合わせて、どの区分を受けるか選ぶ形になります。

受験資格は、次の2段階です。

  • 基本級:満15歳以上、かつ溶接経験1か月以上
  • 専門級:基本級を取得していて、溶接経験3か月以上

試験の内容は、初めて受験する場合は学科試験があり、実技試験は基本級・専門級それぞれで実施されます。

費用や日数は、区分や受験する都道府県の溶接協会によって変わり、今回の調査でははっきりした金額を確認できませんでした。受けたい区分が決まったら、最寄りの都道府県の溶接協会に直接問い合わせるのが確実です。

難易度はどれくらい?

修了試験・実技試験の詳しい採点基準や、公表されている合格率について、確認できる情報は見つかりませんでした。

出典のはっきりしない合格率の数字が出回っていることもありますが、この記事では確認できた事実だけを書いています。難易度が気になる人は、受講・受験する教習機関や協会に直接確認してみてください。

未経験者はどの順番で取ればいい?

ここまでの内容から、未経験の場合はだいたい次の順番で考えると分かりやすいです。

  1. アーク溶接等の業務に係る特別教育 … アーク溶接の仕事に就くなら法律上必要。まずはここから。
  2. ガス溶接技能講習 … ガス溶接の仕事もするなら、あわせて取る。
  3. JIS溶接技能者評価試験 … 現場で経験を積んだあと、技量を証明したいときに。

これは各資格の法律上の位置づけから整理した順番で、教習機関や日本溶接協会が公式に「この順番で」と案内しているわけではありません。実際にどの資格が必要かは、応募先の求人や仕事内容によって変わるので、迷ったときは求人票や面接で確認するのが確実です。

取ると時給・手当はどう変わる?

溶接の資格を取ると資格手当や時給がどう変わるか、資格の有無で分けたデータは見つかりませんでした。

参考として、求人ボックス 給料ナビ「溶接の年収・時給」(2026年6月時点、掲載求人情報から算出)では、溶接の仕事全体の目安として次の数字が出ています。

  • アルバイト・パートの平均時給:1,399円ほど
  • 派遣社員の平均時給:1,336円ほど
  • 正社員の平均年収:490万円ほど(月給の目安41万円ほど、初任給の目安22万円ほど)

これは溶接の仕事全体の目安で、資格を取れば必ずこの金額になるという意味ではありません。資格手当の有無・金額は求人ごとに違うので、実際の求人票で確認してください。

有効期限・更新はある?

特別教育・ガス溶接技能講習・JIS溶接技能者評価試験について、有効期限や更新の有無をはっきり確認できる情報は見つかりませんでした。最新の制度は、受講・受験する教習機関や日本溶接協会の公式サイトで確認してください。

次にやること

溶接の資格は種類が多く分かりにくいですが、整理すると次の3段階です。

  1. 仕事内容を確認する。 アーク溶接かガス溶接か、求人票や面接で確かめましょう。
  2. 法定の資格から取る。 アーク溶接なら特別教育、ガス溶接ならガス溶接技能講習です。どちらも数日で取れます。
  3. 費用を用意する。 特別教育・技能講習は、だいたい1.3万〜2.6万円ほどが目安です(教習機関で差があります)。年齢は満18歳以上が対象です。
  4. 通える教習機関を調べる。 「(住んでいる地域名) アーク溶接 特別教育」などで検索すると出てきます。日程・費用を見比べましょう。
  5. 経験を積んだら、JIS溶接技能者評価試験も検討する。 技量を証明でき、求人でも評価されやすくなります。

どの資格から取るか迷っている人は、工場で稼げる資格の比較もあわせて読んでみてください。溶接以外の資格と、費用や取りやすさを見比べられます。

参考にした情報

公的機関・教習機関・試験団体の公式サイトを中心にまとめました(取得は2026年6月)。金額や制度は変わることがあるため、最新の情報は各団体の公式サイトで確認してください。