工場から介護職へ転職|資格・給料の目安

工場の仕事から、介護の仕事に移ろうか迷っていませんか。介護は人手不足だとよく聞くけれど、資格がいるのか、給料はどうなるのか、体力的にきついのか、気になることが多いと思います。この記事では、公開されている情報をもとに、工場から介護職へ転職するときに知っておきたいことを整理しました。

先に結論

  • 工場から介護職に転職した人がどれくらいいるかを直接示す数字は見つかりませんでした。ただ、介護で働く人の3割は「介護・福祉・医療以外の仕事」から移ってきた人です(公益財団法人介護労働安定センターの調査による)。異業種からの転職はめずらしくありません。
  • 介護職は、資格がなくても、未経験でも働き始められます。まず現場で働きながら資格を取っていく人も多くいます。
  • 給料は、平均で比べると製造業のほうが介護職より高めです。ただし介護職の給料は年々上がっていて、資格や勤続年数で差が大きくなります。
  • 体のきつさの中身は工場と違います。工場は同じ動きの繰り返しや重い荷物、介護は人を支えたり持ち上げたりする動作が中心で、腰痛のリスクが公的にも指摘されています。
  • 介護の仕事は人手不足がはっきりしています。求人の数自体は多いので、「仕事が見つからない」心配は少ない仕事です。

工場から介護職へ転職する人は多いのか

「製造業から介護職に何人が転職したか」という数字そのものは、調べた範囲では見つかりませんでした。

ただし、介護で働く人の「前の仕事」については、介護労働安定センターの調査に数字があります。

  • 介護職員のうち「前に別の仕事をしていた」人は83.5%。
  • そのうち「介護関係の仕事をしていた」人が41.7%で一番多いのですが、「介護・福祉・医療とは関係のない仕事をしていた」人も30.7%います。

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」2024年7月公表)

つまり、介護の仕事をしたことがない人が、転職してきた人の3割ほどを占めています。この中に、工場・製造業から来た人も一定数いると考えられますが、「製造業出身の人が何%か」という細かい数字までは公開情報からは分かりませんでした。

また、介護職員が仕事を辞める割合(離職率)は13.6%、新しく入る割合(採用率)は16.9%です(令和5年度)。全産業の平均(離職率15.0%、入職率15.2%、2022年・厚生労働省「雇用動向調査」)と比べても、極端に人の出入りが激しい業界ではありません(出典:介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」2024年7月公表)。

無資格・未経験でも介護の仕事はできるか

できます。介護は人手が足りていないため、資格がなくても、経験がなくても採用する事業所が多くあります。

介護施設の中には、資格を取るための費用を会社が負担してくれる「資格取得支援制度」を持っているところがあります。無資格のまま働き始めて、あとから資格を取る人は珍しくありません(出典:カイゴジョブアカデミー、介護職の資格取得に関する解説記事)。

もうひとつ、知っておくと役立つ制度があります。ハローワークの「求職者支援訓練」です。雇用保険をもらえない人でも、無料(テキスト代などの実費だけ)で介護職員初任者研修や実務者研修を受けられます。条件を満たせば、訓練を受けている間、月10万円の給付金がもらえることもあります(出典:厚生労働省「求職者支援訓練」リーフレット)。

無資格・未経験からの一般的な流れは、次のようになります。

  1. ハローワークや介護の求人サイトで「未経験可」「資格取得支援あり」の求人を探す。
  2. 面接では、資格取得の支援があるか、夜勤はあるか、研修の体制はどうなっているかを確認する。
  3. 採用されたら、無資格のまま働き始め、会社の制度や上の求職者支援訓練を使って初任者研修を取る。

無資格の人がどれくらいいるかという割合は分かりませんでしたが、令和6年9月時点の調査では、資格を持っていない介護職員の平均給与額は290,620円、資格を持っている人は339,960円でした。無資格でも現場で働いている人が一定数いることが、この数字から分かります(出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」2025年公表)。

介護の資格の種類と取り方

介護の資格は、主に次の3段階でステップアップしていきます。

資格 研修時間・期間 費用の目安 受験資格
介護職員初任者研修 130時間 5万〜10万円くらい なし。誰でも受けられる
介護福祉士実務者研修 450時間以上(無資格からは原則6か月、初任者研修修了者は3か月程度から) 無資格から11万〜20万円くらい。初任者研修があれば8万〜12万円くらい なし
介護福祉士(国家資格) 実務経験3年以上+実務者研修修了 受験料など別途 上の実務経験と研修が必要

(出典:各社の介護資格に関する解説記事、2025年時点。正確な金額は受講するスクールの公式サイトで確認してください)

初任者研修は「まず現場に立つための基礎」、実務者研修は「たんの吸引などより専門的な処置も含めた研修」、介護福祉士は「国家資格で、給料や任される仕事の幅が変わる」というイメージです。修了試験はありますが、講義をきちんと受けていれば合格しやすいレベルとされています。

給料は工場と比べてどうか

平均で見ると、介護職は製造業より年収が低めです。ただし年々上がっていて、資格や勤続年数、施設の種類によって差が大きくなります。

介護職の給料(2026年時点で確認できた範囲)

  • 処遇改善加算を受けている事業所の介護職員の平均給与額(基本給+手当+一時金)は33万8,200円(令和6年9月時点)。前の年の同じ月より1万3,960円上がっています。
  • 施設別では、特別養護老人ホームが36万1,860円、訪問介護が34万9,740円(令和6年9月時点)。
  • 勤続年数別では、2年未満が29万8,760円、10年以上が35万9,040円。

(出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」2025年公表)

求人サイトの集計では、介護職の平均年収は約405万8,000円、平均月給は約31万円というデータもあります(2026年時点、ブレイブ「介護職の給料」コラムより)。

製造業(工場)の給料(2025〜2026年に確認できた範囲)

  • 全産業平均の給与所得者の平均給与は478万円(国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」、2025年9月公表)。
  • 製造業の平均年収は約568万円で、全産業平均より約90万円高いというデータがあります(工場キャリアラボ、2026年時点)。
  • 製造業正社員の平均月給は約33万5,000円(厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」を基にした集計)。
  • 雇用形態別では、正社員350万〜450万円くらい、期間工350万〜550万円くらい、派遣社員260万〜380万円くらい、アルバイト・パート100万〜200万円くらいという目安が出ています。

平均年収だけで単純に比べると、製造業(478万〜568万円くらい)のほうが介護職(約406万円くらい)より100万円前後高いという数字になります。ただし介護職は、資格を取って勤続年数を重ねると給与が上がりやすく、夜勤の有無でも変わります。「どちらが得か」は、個別の求人の条件を見て判断してください。税金や社会保険料を引いた後の手取り額は複雑なので、国税庁や日本年金機構など公式の計算ツールで確認することをおすすめします。

仕事内容と体力的なきつさ

介護の主な仕事内容は、公開されている求人や解説記事によると次のようなものです。

  • 食事・入浴・トイレの介助
  • 着替えや、車いすやベッドへ移るときの手伝い
  • レクリエーション(体操やゲームなど)の企画・見守り
  • 記録や申し送りなどの事務作業

体の負担で気をつけたいのが「腰痛」です。仕事中に4日以上休むことになった病気のうち、腰痛が全体の6割を占めるという説明が、厚生労働省の関連資料で使われています。特に介護施設のような社会福祉施設で、腰痛が起きる件数が増えています。国は平成25年6月に「職場における腰痛予防対策指針」を改訂し、介護や看護の作業全般について、腰に負担の少ない介助の仕方を盛り込みました(出典:厚生労働省労働基準局長通達 基発0618第1号〈平成25年6月18日〉、厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」)。

工場の仕事と比べると、次のような違い・共通点があります。

  • 共通点:どちらも体を使う仕事で、決まった動きの繰り返しが多いです。長時間立ちっぱなしになることも共通しています。
  • 違い:工場は機械やラインに合わせた同じ動きの繰り返しや、重い荷物の運搬が中心です。介護は「人」を相手にするので、力の入れ方がそのつど変わり、予測しにくい動きに対応する必要があります。人とのやり取りによる気疲れも、工場より大きくなりやすい面があります。

「工場出身の人が介護のどの動作をきついと感じやすいか」を比べたデータは見つかりませんでした。

夜勤・シフトの実態

夜勤があるかどうかは、施設で働くか、訪問で働くかで大きく変わります。

  • 訪問介護は、基本的に日中の訪問が中心です。夜間対応をする事業所もありますが、選べることが多いです。
  • 施設で働く介護(特別養護老人ホームや老人保健施設など)は、夜勤があるのが基本です。

2交代制の施設での月あたりの夜勤回数は、「4.5回以上」が42.1%で一番多く、次に「4回」が33%というデータがあります。だいたい月4〜5回くらいが多い水準です(出典:介護職の夜勤に関する解説記事、2025〜2026年時点)。

夜勤手当は施設によって金額が違い、夜勤のない職場で働く場合は、その分年収が年間30万〜50万円くらい低くなる傾向があるとされています。夜勤の回数に法律で決まった上限があるわけではなく、各事業所の労使協定やシフトの組み方で決まっているという説明が複数の解説記事で見られました。正確な決まりは、厚生労働省や労働局の公式情報で確認してください。

人手不足・将来性のデータ

介護の人手不足は、公的な統計でもはっきり出ています。

  • 令和7年3月時点、介護関係の職種の有効求人倍率は全国平均3.97倍でした。同じ時期の全産業平均は1.16倍です。
  • 訪問介護の仕事だけで見ると、2023年度時点で14.14倍という数字もあります(厚生労働省の資料より)。

(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」を基にした解説記事、2025年公表分)

数字は月によって多少動きますが、介護関係の職種の有効求人倍率は、ここ数年おおむね3倍台後半〜4倍くらいで推移しています。訪問介護に限るとさらに高い水準です。

将来の必要人数についても、国が推計を出しています。厚生労働省は、2026年度には約240万人の介護職員が必要になると発表しました。2022年度の介護職員数(約215万人)と比べると、約25万人足りない計算です。2040年度には約272万人が必要とされ、約57万人不足する見通しです(出典:厚生労働省、第9期介護保険事業計画に基づく推計、2025年公表)。

これらの数字から、介護の仕事は当面、求人自体は多く、仕事を見つけやすい分野だと言えます。ただし「将来性がある」というのは、あくまで「人手が足りず求人が多い」という需要と供給の話です。給料が今後も上がり続けることまで保証するものではありません。

転職の進め方

公開されている情報から分かる、無資格・未経験から介護の仕事に移るときの一般的な流れです。

  1. 求人を探す:ハローワーク(全国に約500か所あり、求人検索や職業相談ができます)や、介護専門の求人サイト、一般の転職サイトの「未経験歓迎」の求人を見ます。
  2. 資格を取るタイミングを決める:先に初任者研修を取ってから転職する方法と、無資格のまま採用され、働きながら資格を取る方法の両方があります。どちらも実際に使われている方法です。
  3. 雇用保険をもらえない場合は求職者支援訓練を使う:受講料は基本無料(テキスト代など実費のみ)で、条件を満たすと訓練中に月10万円の給付を受けられます。
  4. 面接・職場選びで確認する:資格取得の支援があるか、夜勤の有無・回数、施設で働くか訪問で働くか、を聞いておきます。
  5. 働きながら資格をステップアップする:初任者研修 → 実務者研修 → 実務経験3年+実務者研修修了で介護福祉士の受験資格、という流れが一般的です。

どの求人サイトやスクールを使うかは、この記事では特定のサービスをおすすめしていません。募集要項や各社の公式サイトで、最新の条件を必ず確認してください。

工場の資格を活かしてほかの道を探したい人は、工場で稼げる資格の比較も参考にしてみてください。

次にやること

  1. ハローワークか介護の求人サイトで、「未経験可」「資格取得支援あり」の求人を探してみる。
  2. 気になる求人が見つかったら、資格取得支援の内容・夜勤の有無・施設か訪問かを確認する。
  3. 雇用保険をもらえない場合は、ハローワークで求職者支援訓練の案内を聞いてみる。
  4. 今の工場の給料と、気になる介護求人の給料を、手当まで含めて比べてみる。

参考にした情報

公益財団法人介護労働安定センター、厚生労働省、国税庁などの公的統計と、介護・転職関連の解説記事をもとにまとめました(取得は2026年9月)。制度や給料の水準は変わることがあるため、応募前に各公式サイトで最新情報を確認してください。

  • 公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」(2024年7月公表)https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousagaiyou.pdf
  • 厚生労働省「求職者支援訓練」リーフレット https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/kaigo_roudou/dl/leaflet_120523_2.pdf
  • 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年公表)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/index.html
  • 厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000041110_3.pdf
  • 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」関連資料 https://www.mhlw.go.jp/content/001400106.pdf
  • 厚生労働省、第9期介護保険事業計画に基づく介護人材の推計(2025年公表)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001485589.pdf
  • 国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査結果」(2025年9月公表)https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2024/pdf/R06_001.pdf
  • 工場キャリアラボ「工場勤務の年収」https://04510.jp/columns/career/koujou_kinmu_nenshu/
  • カイゴジョブアカデミー「初任者研修を働きながら取得」https://kaigojob-academy.com/column/shoninsha/hatarakinagara/
  • カイゴジョブアカデミー「実務者研修の費用」https://kaigojob-academy.com/column/jitsumusha/cost/
  • ウェルミーマガジン「介護職員初任者研修と実務者研修の違い」https://www.kaigojob.com/magazine/job-qualification/article0098
  • マイナビ介護職「介護福祉士の取得費用」https://kaigoshoku.mynavi.jp/support/column/post_12/
  • ベネッセスタイルケア「介護福祉士実務者研修とは」https://shikaku.benesse-style-care.co.jp/practical_training
  • ブレイブ「介護職の給料」コラム https://www.braves.co.jp/column/article/kaigo/kaigo-basic/kaigo-kyuuryou-heikinn/
  • ウィルオブ介護「介護業界の夜勤まるわかり」https://kaigo-work.jp/article/237003/
  • マイナビ介護職「夜勤回数の上限」https://kaigoshoku.mynavi.jp/contents/kaigonomirailab/works/commonsense/1919/
  • Office Heart Rock「都道府県別有効求人倍率」https://heartrock-noma.com/contents_2314.html
  • クリエ福祉アカデミー「2026年介護業界の就職環境」https://crie-hukushi.com/kaigo-column/kaigo061/