通販で買った荷物は、どこかの倉庫で人の手を通ってから届きます。その現場で商品を集めたり、箱に詰めたりするのが倉庫内作業です。
求人はとても多い仕事です。でも「楽そう」という声と「立ちっぱなしできつい」という声の両方があって、どっちなのか分かりにくいと思います。
答えを先に言うと、きついかどうかは「倉庫のどの作業に入るか」で大きく変わります。同じ倉庫でも、座って商品をチェックする作業もあれば、一日中歩き回る作業もあるからです。
この記事では、倉庫内作業の中身・楽な作業ときつい作業のちがい・時給の目安を、厚生労働省の職業情報サイト(job tag)などの公開情報から整理します。工場のライン作業とどっちが向くかも、最後に比べます。
倉庫内作業とはどんな仕事か
倉庫の仕事は、大きく「入荷 → 検品 → 保管 → 出荷」の流れで進みます(出典:物流倉庫の解説サイト 860903.jp)。この流れの中に、いくつかの作業があります。
- 入荷・出荷:届いた商品を受け取る、または送り出す作業です。
- ピッキング:注文の伝票を見て、指定された商品を棚から集める作業です。買い物に近い動きになります。厚生労働省の job tag では、ピッキング作業員の中心の仕事とされています。
- 検品:商品に傷や汚れ、数の間違い、異物の混入がないかを確かめる作業です。細かく見るので集中力がいります。
- 仕分け:集めた商品を、配送先ごとに分ける作業です。比較的シンプルとされます。
- 梱包(こん包):段ボールを組み立て、商品を詰めて、テープやバンドで留める作業です。
- ラベル貼り:値札や宛名シール、成分表示のシールを貼る作業です。
job tag(厚生労働省の職業情報サイト)では、ピッキングや荷物の積み下ろしといった作業を、それぞれ別の職業として説明しています(出典:job tag「ピッキング作業員」「積卸作業員」「こん包作業員」)。「倉庫内作業」とひとまとめに募集していても、実際に入る作業はこのどれか、ということです。
「楽」と言われる作業と、その理由
倉庫内作業が「楽」と言われるのには、いくつか理由があります。
まず、検品やラベル貼りは、作業台の前に座ってできることが多い作業です。ピッキングのように歩き回らないぶん、体力を使いにくいとされています(出典:派遣の求人コラム busiconet ほか)。
次に、接客がありません。お客さんと話し続ける必要がないので、人と接するのが苦手な人には気が楽だと言われます。作業も決まった手順のくり返しが多く、覚えることが少ないという声もあります(出典:求人サイト タウンワークのコラム)。
ただし、「楽」と言われる作業にも負担はあります。検品はミスが許されないので、集中を切らさず見続ける疲れがあります。座り仕事も、長く同じ姿勢でいると体はこります。「体力を使わない」と「仕事として楽」は、同じではありません。
「きつい」と言われる作業・環境
一方で、きついと言われやすいのは次のような作業や環境です。
立ちっぱなしと、歩く距離の長さ。 job tag のピッキング作業員のデータでは、立ち作業や歩く量を示す数値が高めに出ています(出典:job tag「ピッキング作業員」)。広い倉庫だと、一日でかなりの距離を歩くこともあります。
重い荷物の運搬。 荷物の積み下ろしや仕分けでは、重いものを持つ場面があります。腰やひざに負担がかかりやすい作業です。job tag でも、荷物の積み下ろしは「全身を使う」仕事とされています(出典:job tag「積卸作業員」)。
スピードとノルマ。 ピッキングなどは、決まった時間の中で数をこなすことが求められます。慣れないうちに急ぐと、ミスが増えやすいとも言われます(出典:物流の求人コラム 717450.net)。
繁忙期の忙しさ。 お中元やお歳暮、年末年始、通販の大型セールの時期は荷物が一気に増えます。残業が出ることもあります(出典:job tag「ピッキング作業員」、物流倉庫の解説サイト 860903.jp)。時期については、あとの章でもう少しくわしく説明します。
常温・冷蔵・冷凍で働き方が変わる
倉庫には、ふつうの温度の「常温倉庫」だけでなく、食品などを冷やして保管する「冷蔵倉庫」「冷凍倉庫」があります。どの温度帯に入るかで、働きやすさはかなり変わります。
冷蔵・冷凍倉庫の温度は、倉庫業法という法律のルールで細かく区分されています。2024年4月の改正で、区分は10段階に増えました(出典:日本冷蔵倉庫協会、倉庫業の解説サイト RiSOKO)。
| 区分 | 温度帯の目安 |
|---|---|
| C級(冷蔵) | +10℃以下〜−18℃前後まで(C3〜C1に細分) |
| F級(冷凍) | −18℃前後〜−35℃前後まで(F1〜F3に細分) |
| SF級(超低温) | −35℃前後〜−50℃以下(SF1〜SF4に細分) |
※倉庫業法施行規則(2024年4月改正)の区分をまとめたもの。正確な各区分の温度は日本冷蔵倉庫協会などで確認できます。
食品を運ぶ現場では、ざっくり「常温(ドライ)」「冷蔵(チルド)」「冷凍(フローズン)」の3つに分ける言い方もよく使われます(出典:日本通運、大和物流の用語集)。冷凍食品を扱う現場では、−15℃以下になる場合もあるとされています(出典:工場の求人コラム 工場キャリアラボ)。
冷凍倉庫で働くときは、凍傷や体の冷えを防ぐために、防寒着や暖かい休憩場所が必要です。労働安全衛生規則でも、寒さで害が出るおそれのある作業場には暖房などの対策や、作業場の外に休憩設備を設けることが決められています(出典:労働安全衛生規則 第606条・第614条)。
寒い環境で働くぶん、冷凍倉庫の求人は常温より時給が少し高めに設定されていることが多いとされます(2026年7月時点の求人の傾向)。ただし「冷凍手当」といった名前で書かれているとは限らず、手当のあるなしは会社によって違います。応募のときは、防寒着を貸してもらえるかも含めて確認しておくと安心です。
時給・給料の目安
時給は、雇用形態や地域、時期で変わります。断定はできませんが、公開されている求人データからの目安は次のとおりです。
| 働き方 | 時給・年収の目安 |
|---|---|
| アルバイト・パート | だいたい時給1,190〜1,430円 |
| 派遣 | だいたい時給1,310〜1,430円 |
| 正社員 | だいたい年収440万〜472万円(月給35万〜39万円ほど) |
※求人ボックスの集計より(2026年6〜7月時点)。データは日々更新されるため、見る時期で数字は動きます。目安として見てください。
派遣の平均時給を見ると、工場・軽作業・物流などをまとめた区分で、三大都市圏の平均が2026年4月度でおよそ1,447円でした(出典:ディップの派遣時給調査)。関東が高く、地方に行くほど下がる傾向があります。
夜勤は時給が上がります。法律で、夜22時から翌朝5時までの仕事には25%以上の割増をつける決まりがあるためです。夜勤の倉庫求人では、時給1,500〜2,000円ほどの例もありました(個別の求人例で、平均ではありません)。
フォークリフトの免許を持っていると、時給は高めになりやすいです。求人ボックスの集計(2026年6月時点)では、フォークリフト関連の仕事は時給1,400〜1,800円ほどで、免許のいらない軽作業(1,190〜1,430円)より高い傾向でした。厚生労働省の job tag では、フォークリフト運転作業員の想定年収は約470万円とされています(出典:job tag「フォークリフト運転作業員」、令和7年の賃金構造基本統計調査より)。免許を取ると収入を上げやすいので、取得費用を会社が出してくれる求人を探すのも手です。免許の取り方や費用は、フォークリフト免許の取り方・費用にまとめています。
未経験・女性・年齢のこと
未経験でも始めやすい仕事です。 job tag の積卸作業員のデータでは、この仕事に就く前の特別な訓練や実務経験は「特に不要」と答えた人がそれぞれ65%ほどでした(出典:job tag「積卸作業員」)。入ってからの研修も、1か月以下という職場が多くなっています。求人サイトでも「未経験歓迎」の倉庫内作業は数多く出ています(2026年7月時点)。ただし、すべての倉庫が未経験OKとは限りません。求人票の「未経験可」の記載は確認してください。
女性も働いています。 アパレルや化粧品、食品など軽い商品を扱う倉庫では、女性のスタッフが増えているとされます(出典:物流会社のコラム スタープライド)。「女性活躍中」の求人も多く見られます。一方で、job tag の積卸作業員のデータでは「就業者の多くは男性」とあり、重い荷物を扱う荷役中心の部署と、仕分けなどの軽作業中心の部署では、働きやすさに差が出ることがあります。更衣室などの設備は職場ごとに違うので、気になる点は面接で聞くのが確実です。
年齢が高めでも働けます。 job tag の積卸作業員の平均年齢は46.3歳で、比較的年齢層は高めです。求人サイトでも「40代〜」「50代〜」「60代〜歓迎」「主婦(主夫)歓迎」といった募集が多くあります(2026年7月時点)。ただし、これも職場によります。
工場のライン作業と倉庫、どっちが向く?
倉庫と迷いやすいのが、工場のライン作業です。同じ「体を動かす仕事」でも、性質は違います。
| 見るところ | 工場のライン作業 | 倉庫内作業(軽作業) |
|---|---|---|
| 作業の進み方 | ベルトコンベアに合わせた流れ作業。ラインは止められない | 個人作業が中心。ペースが多少前後しても全体への影響は小さめ |
| 体の使い方 | 立ち仕事+同じ動作のくり返しが多い | 歩き回るピッキングや、重い荷物の運搬が多い |
| 忙しさの波 | 生産計画に沿って比較的一定 | トラックの到着や荷物の量で、日によって上下しやすい |
| 向く人 | 決まった動きをコツコツ続けたい人 | 歩き回るのが苦にならない人、黙々と作業したい人 |
出典:工場・倉庫の求人コラム(ウィルオブ工場求人、日研トータルソーシング)。
どちらも、人と話しながらより黙々と作業したい人に向く点は同じです。「同じ場所で同じ動作をくり返すのが得意か」「倉庫の中を歩き回るのは平気か」で考えると、選びやすくなります。ほかの業種とも迷っているなら、工場の業種別 働きやすさ比較もあわせて読んでみてください。
応募前に確認したいこと
入ってから「思っていたのと違った」を減らすために、応募の前に次の点を確かめておくと安心です。
- どの作業に入るか:ピッキング中心か、検品など座り作業か。歩く量や立ち仕事かどうか。
- 温度帯:常温か、冷蔵・冷凍か。冷凍なら防寒着を貸してもらえるか。
- シフト:早朝や深夜があるか。24時間動いている倉庫もあります。
- 繁忙期の残業:年末年始・お中元・引っ越しシーズン(3〜4月)などの忙しい時期に、どのくらい残業があるか。
- 勤務地への行き方:郊外の倉庫は駅から遠いこともあります。送迎バスの有無を確認しましょう。
- 雇用形態:正社員・契約社員・派遣・パートのどれか。派遣や契約社員でも、法定の時間を超えた残業には残業代がつきます。「正社員登用あり」かも見ておくとよいです。
これらは求人票に書いていないこともあります。ハローワークの窓口や面接で、遠慮せず聞いて大丈夫です。
次にやること
倉庫内作業は、入る作業と温度帯で働きやすさが大きく変わる仕事です。「倉庫=きつい」でも「倉庫=楽」でもなく、どこに入るか次第、というのが実際のところです。
不安を、次の行動に変えていきましょう。
- 気になる求人を1〜2件選び、「どの作業か」「温度帯」「雇用形態」を求人票で確かめる。
- 面接や電話で、「未経験者の研修期間」「繁忙期の残業の目安」「冷凍なら防寒着の貸与」を質問する。
- 収入を上げたいなら、フォークリフト免許の取り方・費用を読んで、取得支援のある求人を探す。
- ほかの業種とも迷うなら、工場の業種別 働きやすさ比較で負担の中身を見比べる。
一つずつ確かめていけば、自分に合う倉庫の仕事は選べます。
