鉛作業主任者の取り方・費用・難易度|工場での役立て方

自動車用バッテリー、電線、鉛合金の加工。鉛作業主任者は、こうした鉛を扱う一部の工程に置くことが法律で決められている資格です。難しそうな名前ですが、講習を受ければ取れます。取り方・費用・日数を、公開されている情報から整理しました。

先に結論

  • 鉛作業主任者は、鉛を扱う職場で働く人の健康を守る責任者です。換気設備の点検や保護具の使用状況の確認などを行います。
  • 鉛蓄電池(バッテリー)の製造・修理・解体、鉛合金・鉛製品の加工、電線・ケーブルの製造など、法律で決められた一部の鉛業務で、この資格を持つ人の配置が義務づけられています。
  • 法令上、講習そのものに受講資格の定めはなく、実務経験も求められていません。ただし18歳未満は鉛を扱う業務に就けないため、実際には18歳以上が対象です。
  • 講習は2日間・合計11時間程度で、費用はだいたい13,750円〜16,280円くらいです(2026年9月時点・実施団体4件から)。
  • 「有機溶剤作業主任者」「特定化学物質作業主任者」など似た名前の資格がありますが、対象になる物質や法律の根拠が違います。

主任者が行うこと

鉛作業主任者は、鉛を扱う職場で働く人の健康を守る責任者です(那加クレーンセンターによると)。厚生労働省が示す鉛中毒予防規則第34条によると、主な仕事には次のようなものがあります(厚生労働省によると)。

  • 働く人の体が鉛で汚れないよう指示すること
  • 体が鉛でひどく汚れているのを見つけたら、すぐに汚れを落とさせること
  • 換気装置や排気筒、ほこりを取り除く装置を週1回以上、点検すること
  • マスクなどの保護具を、みんながちゃんと使っているか見守ること

なぜこの資格が必要なのか

鉛は体に入ると鉛中毒を起こすおそれがある物質です。労働安全衛生法第14条では、労災を防ぐための管理が必要な作業に、国が定める資格を持つ「作業主任者」を置くことが決められています。鉛中毒予防規則第33条によると、事業者は、法令で定められた一部の鉛業務については、鉛作業主任者技能講習を修了した人の中から作業主任者を選ばなければなりません(厚生労働省によると)。鉛業務のすべてが対象というわけではなく、対象になるかどうかは業務の種類によって決まっています。

どんな工場・作業で必要になるか

鉛作業主任者の配置が法律で義務づけられているのは、鉛業務の中でも一部の作業です。厚生労働省の法令によると、主に次のような工程が対象です(厚生労働省によると)。

  • 鉛蓄電池(バッテリー)やその部品を作る・直す・分解する工程で、鉛を溶かす・型に流す・削る・混ぜるなどの作業
  • 鉛合金や鉛製品を作る・直す・分解する工程で、溶かす・溶接する・切る・加工する作業
  • 電線やケーブルを作る工程で、鉛をかぶせたり剥がしたりする作業

自動車用バッテリーなどの鉛蓄電池工場では、こうした作業にあたる人がいるため、資格を持つ人の配置が必要になります。

一方、鉛を含む塗料の製造や、動力を使う印刷工程での活字の文選・植字なども、法令上は「鉛業務」にあたりますが、鉛作業主任者の配置が義務づけられている業務には含まれていません(厚生労働省によると)。同じ「鉛業務」でも、法律上の扱いが分かれている点に注意してください。

受講資格・費用・日数

法令上、鉛作業主任者技能講習そのものに受講資格の定めはなく、実務経験も求められていません。ただし、18歳未満の人は鉛を扱う業務そのものに就くことができないと法律で決まっているため(労働基準法・年少者労働基準規則による)、実際には18歳以上が対象になります。細かい条件は、受講する労働基準協会などの実施団体に確認してください。

講習は2日間で、合計11時間程度です。科目は「健康障害及びその予防措置」「作業環境の改善方法」「保護具に関する知識」「関係法令」で、最後に1時間の筆記の修了試験があります(東京労働基準協会連合会によると)。合格すると、写真入りの修了証がもらえます(兵庫労働基準連合会によると)。

費用は実施団体によって差がありますが、だいたい次のとおりです(2026年9月時点)。

実施団体 費用の目安
富山県労働基準協会 13,750円くらい
茨城労働基準協会連合会 14,080円くらい
千葉県労働基準協会連合会 15,180円くらい
兵庫労働基準連合会 16,280円くらい

受講料とテキスト代の合計で、13,750円〜16,280円くらいが目安です。住んでいる地域の労働基準協会によって金額が違うので、申し込み前に公式サイトで確認してください。

混同しやすい資格との違い

工場の資格には、似た名前の作業主任者がいくつかあります。対象になる物質や法律の根拠が違うので、混同しないようにしましょう。

  • 有機溶剤作業主任者:有機溶剤中毒予防規則にもとづく資格で、トルエンやキシレンなど有機溶剤を扱う作業が対象です。講習は同じく2日間で、費用は12,100円+テキスト代2,200円くらいです(茨城労働基準協会連合会によると)。詳しくは有機溶剤作業主任者の記事にまとめています。
  • 特定化学物質作業主任者:正式名称は「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」で、限定講習でない通常の講習を修了すると、特定化学物質作業主任者と四アルキル鉛等作業主任者の両方の資格を同時に取得できます。詳しくは特定化学物質作業主任者の記事にまとめています。

とくに注意したいのが、「鉛作業主任者」と「四アルキル鉛等作業主任者」の違いです。鉛作業主任者は鉛中毒予防規則にもとづき、金属の鉛や鉛合金、法令で決められた鉛化合物を扱う作業が対象です。一方、四アルキル鉛等作業主任者は四アルキル鉛中毒予防規則にもとづき、テトラエチル鉛などの四アルキル鉛を扱う作業が対象です。名前は似ていますが、根拠になる法律と対象物質が違います。

資格手当や仕事への活かし方

求人サイトの情報では、鉛作業主任者の資格を持つ人向けの求人にはかなり幅があり、資格そのものの評価額とは言えません。資格手当については、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者の資格手当を月2,000円としている求人例が見つかりましたが、相場と言えるほどのデータではありませんでした。気になる場合は、求人票の資格手当の欄を直接確認してください。

次にやること

  1. 勤務予定の地域の労働基準協会や安全衛生技術センターの公式サイトで、開催日程と最新の受講料を確認する。
  2. 鉛以外の物質も扱う職場なら、有機溶剤作業主任者や特定化学物質作業主任者の講習が別に必要かどうか、会社の担当者に確認する。
  3. 求人票に資格手当が書かれているか、応募前にチェックする。

参考にした情報

厚生労働省の鉛中毒予防規則、各地の労働基準協会の講習案内などをもとにまとめました(取得は2026年9月)。制度や費用は変わることがあるため、申し込み前に最新の公式サイトで確認してください。

  • 鉛中毒予防規則(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74094000&dataType=0&pageNo=1
  • 鉛作業主任者技能講習の解説|那加クレーンセンター https://www.nakacc.co.jp/course/chief/majico/namari.php
  • 鉛作業主任者技能講習|静岡県労働基準協会連合会 https://www.shizukiren.or.jp/course00007.html
  • 鉛作業主任者技能講習|富山県労働基準協会 https://www.toyamarokikyo.or.jp/course/details_186.html
  • 鉛作業主任者技能講習|茨城労働基準協会連合会 https://roukiren-ibaraki.or.jp/鉛作業主任者技能講習/
  • 鉛作業主任者技能講習|兵庫労働基準連合会 https://hyogo-roki.or.jp/training/namari/
  • 鉛作業主任者技能講習|千葉県労働基準協会連合会 https://chibaroukiren.com/session/44/
  • 鉛作業主任者技能講習|東京労働基準協会連合会 https://www.toukiren.or.jp/kousyu_01.html
  • 有機溶剤作業主任者技能講習|茨城労働基準協会連合会 https://roukiren-ibaraki.or.jp/有機溶剤作業主任者技能講習/
  • 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習 https://www.rougi.or.jp/course/tokyo/tetraalkyl