建設機械・農業機械工場の仕事はきつい?作業内容・時給の目安

油圧ショベル1台には、大小合わせてたくさんの部品が使われています。トラクターも同じように、たくさんの部品を組み合わせて作られています。作っているのは、ショベルカーやトラクターを作る工場、つまり建設機械・農業機械の工場です。

自動車工場の期間工と比べると求人の数は多くありませんが、コマツやクボタなど大手メーカーが期間従業員を募集しています。この記事では、仕事の中身、きついと言われる理由、時給の目安、必要な資格を、公開されている求人情報や公式サイトから順に整理します。

先に結論

急いでいる人は、ここだけでも。

  • 仕事は組立・溶接・塗装・機械加工・検査・出荷など。自動車部品より大きくて重い部品を扱う場面が多めです(公開求人情報によると)。
  • 資格がなくても応募できる求人がほとんどです。玉掛け(クレーンに荷物を掛け外しする作業)やフォークリフトの資格は、入社後に会社負担で取らせてもらえることが多く、持っていると配属や給料で有利になりやすいとされています。
  • 日給は、確認できた求人でだいたい8,000円台〜1万5,000円くらい(2026年8月時点・各社の公開求人情報より)。会社や工場によって差があります。
  • 期間工・派遣どちらの募集もあり、多くの会社が寮を用意しています。

どんなものを作っている工場か

建設機械の工場では、ショベルカー(油圧ショベル)やブルドーザー、ダンプトラックなどを作っています。農業機械の工場では、トラクターやコンバイン、田植え機などを作っています。

どちらも、地面を掘ったり、重い荷物を運んだり、土を耕したりする機械です。人の手では難しい力仕事をする道具なので、部品や完成品そのものが大きくて重いのが特徴です(出典:建設機械の重量と大きさについて)。

主なメーカーは、建設機械ならコマツ(小松製作所)・日立建機・コベルコ建機、農業機械ならクボタ・ヤンマー・井関農機などです。世界シェアで見ると、コマツは第2位、日立建機は7位という規模の会社です(英KHL社の調査「Yellow Table 2025」・2024年実績。出典:建設機械業界メディアの解説)。

なお、建設機械メーカーの工場でも、小型の農業機械や別の製品を作っている拠点があります。求人を見るときは、その工場がどの製品を作っているかを確認すると、仕事のイメージがつかみやすくなります(出典:クボタ阪神工場の求人)。

主な仕事内容

会社によって呼び方は違いますが、だいたい次の作業に分かれます。

  • 組立:図面どおりに部品を工具で組み付ける作業。クレーンを使って、建機の足回りや腕(アーム)の部分を組み立てる工程もあります(出典:日立建機の仕事内容)。
  • 溶接:鉄板を溶接機でつなぎ合わせる作業。厚い鉄板を扱うので、何回にも分けて溶接するなど、技術的に難しい面もあります(出典:コベルコ建機、日本製鉄の資料)。
  • 機械加工:工作機械で部品を削り出す作業(出典:コベルコ建機求人)。
  • 塗装:塗料で表面をコーティングし、さびや傷つきを防ぐ作業(出典:工場の職種解説)。
  • 検査・出荷:完成した機械のキズや不具合をチェックし、出荷前の準備をする作業(出典:コベルコ建機)。
  • ピッキング・運搬:部品の仕分けや運搬(出典:日立建機)。

未経験者は、まず簡単な作業から始めて、研修で少しずつ仕事を覚えていく会社が多いようです(出典:コマツの仕事内容)。クボタ筑波工場で働いた人のブログによると、組立ラインは約70秒に1台というスピードで動く部署もあり、加工・溶接・塗装・組立・検査・物流に担当が分かれるとのことです(出典:クボタ期間工の体験談)。

きついと言われる理由

建設機械も農業機械も、そもそも力仕事をするための機械なので、部品や完成品そのものが大きくて重いのが特徴です。そのため、次のような点がきついと言われやすい理由です。

  • 重い部品を運んだり組み立てたりする作業があり、ある程度の体力が必要(出典:工場がきつい理由の解説)。
  • 検査や仕分けの仕事は、同じ姿勢で長く立ち続けることが多く、足腰への負担が大きい(出典:同上)。
  • 部品のバリ(余分な出っぱり)を取る工程で振動する工具を使うため、手がしびれるという体験談があります(出典:クボタ期間工の体験談。これは個人の体験談で、すべての工場に当てはまるとは限りません)。
  • ラインの動くスピードが速い部署は忙しく、部品の仕分け担当者が「1日4万〜5万歩歩いた」と書いているブログもありました(出典:クボタ期間工ブログ。個人の体験談です)。
  • 溶接は高熱を扱い、塗装は薬品のにおいが強いため、どちらも体調管理が欠かせないという解説があります(出典:工場の職種解説)。

一方で、検査補助や部品の仕分けなど、体力的な負担が比較的少ない工程もあるという声もあります(出典:同上)。「自動車工場と比べてどちらがきついか」を数字で比べた公開データは見つかりませんでした。担当する工程によって、感じ方の差が大きいというのが実際のところのようです。

時給・給料の目安

建設機械・農業機械メーカーは、コベルコ建機とクボタの枚方製造所以外、期間従業員の給料を公式サイトで公開していません。そのため下の表は、公式サイトで確認できたものと、求人サイト・人材会社のページで確認できたものを分けて示します。求人は時期や工場によって内容が変わるので、応募する前に最新の募集要項を確認してください。

会社・工場 日給の目安 月収の例 出典の種類
コベルコ建機(岐阜・大垣工場) 8,150〜10,950円 約32万〜34万円 公式サイト
クボタ枚方製造所 1万2,300〜1万4,300円 約30万円(入社1年目・日勤+夜勤) 公式サイト
クボタ筑波工場 1万4,000〜1万5,000円 日勤のみで約34万円(残業25時間ほどを含む) 求人サイト
コマツ(工場により差あり) 9,850円〜1万1,420円くらい 工場によって約35万〜43万円台まで幅がある 人材会社・求人サイト

(2026年8月時点。出典:コベルコ建機、クボタ枚方製造所、クボタ筑波工場の給与情報、コマツの仕事内容(日総工産)、期間工.jp(コマツ工場別))

コマツは期間従業員の採用を人材会社に委託しており、日給・月収とも工場によってかなり差があります。求人サイトの掲載情報によると、茨城工場が9,850〜1万250円、小山工場が9,850円〜、粟津工場が1万1,420円〜で、月収例も大阪工場36万6,000円〜43万1,000円、粟津工場37万2,600円、氷見工場35万4,000円など、工場ごとにばらつきがあります(2026年8月時点の各サイト掲載情報より)。

コベルコ建機(大垣工場)は、入社祝い金が合計20万円、契約を満了したときの慰労金が24万円あります。ただし慰労金は、最初の契約を満了した場合は14万円になるなど、契約回数や勤務条件(契約期間6か月・欠勤6日以内など)によって金額が変わります(出典:コベルコ建機)。

日立建機についても求人サイトで日給・月収・満了慰労金の情報が見られますが、サイトによって金額の記載が大きく違い、なかには募集を終了したページの古い情報も混ざっていました。正確な金額をここで示すのは難しいため、応募を考えている場合は、後述の募集状況とあわせて、最新の求人情報を直接確認することをおすすめします。

参考までに、機械組立工という職種全体(建設機械に限りません)の平均は年収483万円ほど・時給1,399円ほどです(2026年7月時点・求人ボックスの集計)。製造業の期間工全体の平均月収は34万3,000円ほどでした(求人約23万7,188件・2025年5月〜2026年6月ごろの集計)(出典:求人ボックス 機械組立工、求人ボックス 期間工)。「建設機械・農業機械工場の期間工」だけに絞った、件数付きの全国平均データは見つかりませんでした。

必要な資格・あると有利な資格

多くの求人が「資格不要・未経験歓迎」としています。ただし、次の資格を持っていると配属や給料で有利になりやすいという情報が、複数のメーカーで共通していました。

資格 内容 取る目安
フォークリフト運転技能講習 フォークリフトを運転するための資格。荷物の重さが1トン以上のフォークリフトを動かすときに必要 2〜4.5日・費用目安2万〜4万6,000円くらい(持っている免許によって日数・費用が変わる)
玉掛け技能講習 クレーンに荷物をワイヤーなどで掛けたり外したりする作業の資格。吊る荷物が1トン以上のときに必要 2〜3日・費用目安2万〜2万7,000円くらい
移動式クレーン運転士・小型移動式クレーン運転技能講習 クレーンそのものを操作する資格。玉掛けとは別の資格 –
アーク溶接特別教育 電気を使う溶接(アーク溶接)をするための資格 2〜3日・費用目安2万円前後
ガス溶接技能講習 ガスを使う溶接・溶断をするための資格 2日・費用目安2万6,000円

(出典:フォークリフト運転技能講習、玉掛け技能講習、玉掛け技能講習/玉掛け特別教育(コベルコ教習所)、アーク溶接特別教育、ガス溶接技能講習)

コマツや日立建機の期間従業員求人では、「クレーン・玉掛けなどの資格は、入社してからの教育で会社の費用負担で取れる」としています。資格を持っていない未経験の状態でも応募でき、入ってから取らせてもらえることが多いということです(出典:コマツ期間従業員、日立建機)。クボタの応募資格も「6か月勤務できる満18歳以上」「立ったまま両手で作業ができる」で、特定の資格は求められていません(出典:クボタ求人)。

資格取得の費用や日数を、他の工場資格と比べてから決めたい人は、工場で稼げる資格の比較もあわせて読んでみてください。

主なメーカー・工場の所在地

メーカー 主な工場・拠点
コマツ 粟津(石川県小松市)、金沢(石川県金沢市)、氷見(富山県氷見市)、大阪(大阪府枚方市)、六甲(兵庫県神戸市)、滋賀(滋賀県蒲生郡竜王町)、茨城(茨城県ひたちなか市)、湘南(神奈川県平塚市)、小山(栃木県小山市)、栃木(栃木県小山市・小山工場とは別の拠点)、郡山(福島県郡山市)
日立建機 土浦(茨城県土浦市)、霞ヶ浦(茨城県かすみがうら市)、常陸那珂・常陸那珂臨港(茨城県ひたちなか市)、龍ヶ崎(茨城県龍ヶ崎市)、播州(兵庫県)
コベルコ建機 大垣事業所(岐阜県大垣市)、広島事業所・五日市工場(広島県広島市佐伯区)、大久保事業所(兵庫県明石市)
クボタ 枚方製造所(大阪府枚方市・小型建機)、筑波工場(茨城県つくばみらい市・トラクタ/エンジン)、堺製造所(大阪府堺市)、阪神工場(兵庫県尼崎市)
ヤンマー びわ工場(滋賀県)、甲賀事業部(滋賀県湖南市)、長浜地区(滋賀県長浜市・エンジン組立)
井関農機 松山本社・ISEKI M&D(愛媛県松山市)

(出典:コマツ 拠点一覧、日立建機、コベルコ建機 拠点、クボタ求人、ヤンマー長浜、ヤンマー甲賀、井関農機)

工場の所在地や募集の状況は時期によって変わります。たとえばコベルコ建機は、2026年8月時点で大垣工場だけが募集中で、広島の工場は募集が止まっていました。応募する前に、各社の採用ページで最新の情報を確認してください。

期間工・派遣・寮の有無

建設機械・農業機械メーカーの多くは、期間従業員(期間工)を会社が直接雇う形で募集しており、寮を用意しています。

  • コマツ:全国の工場で期間従業員を随時募集。18歳以上(学生は不可)なら、仕事の経験や学歴を問わず応募できます。寮費が無料の個室ワンルームで、冷暖房や生活に必要な備品が付いており、水道光熱費だけ自分で払う仕組みです(出典:コマツ期間従業員、コマツの仕事内容)。
  • 日立建機:組立・塗装・荷受・検査で期間従業員を募集していた実績がありますが、2026年5月ごろの情報では、期間従業員の募集が停止されているとする求人サイトの記載がありました。応募を考えている場合は、最新の募集状況を採用ページで確認してください。契約期間は最長5年とされ、他社より長めです(出典:日立建機の期間従業員)。
  • コベルコ建機:大垣工場で期間契約社員を募集中(2026年8月時点)。工場から50キロより遠くに住んでいる人は寮に入れて、家電・家具付き、光熱費の補助(月1万2,000円)、引っ越しのときの手当2万円があります(出典:コベルコ建機)。
  • クボタ:筑波工場・枚方製造所・堺製造所・阪神工場のどこも期間従業員を募集。寮費・水道光熱費が無料の拠点や、給料から天引きされる拠点があり、女性専用の寮を用意している工場もあります(出典:クボタ求人)。
  • ヤンマー:民間の求人サイトに長浜工場まわりの期間従業員・派遣の求人が出ていますが、会社の公式サイトには新卒・中途採用の情報が中心で、期間従業員だけの公式ページは見つかりませんでした。
  • 井関農機:公式の採用ページには正社員(新卒・中途)の情報だけで、期間従業員・派遣の募集は今回の調べでは見つかりませんでした。

法律(労働基準法)では、期間を決めて働く契約は原則1回3年までと決まっています。多くのメーカーは、この上限を超えないように、契約を最長2年11か月で区切って運用しています。ただし会社によって違いがあり、たとえば日立建機は最長5年まで契約できるとされています(出典:厚生労働省 和歌山労働局の解説)。

正社員への登用実績としては、クボタ枚方製造所で未経験から始めた人を含めて約30%が正社員になった実績があります(筑波工場は約40%という記載もありました)。日立建機は過去7年に約650人(1年あたり約100人)が正社員になり、登用試験に合格した人の割合が88%という記載も求人サイトにあります(出典:クボタ求人、日立建機)。これらは各社が公式に発表した数字ではなく、求人サイトに載っていた数字なので、その点は注意してください。

他の工場業種との違い・向いている人

建設機械・農業機械は、自動車部品のような比較的小さい部品ではなく、完成した車体そのものや大きな部品を扱う工程が多いのが特徴です(出典:自動車部品工場の仕事)。そのため、クレーンや玉掛け、フォークリフトなど、重い物を動かす資格が役に立つ場面が多いとされています。

業界の動きとしては、建設機械も農業機械も、電気で動く機械への切り替えや自動化が進んでいます。経済産業省は2024年6月から12月にかけて、建設機械の電動化について話し合う研究会を4回開き、2025年1月に中間のまとめを公表しました(出典:経済産業省)。クボタは、無人で自動運転できるコンバイン(2024年1月発売)や、まっすぐ進む機能がついた田植え機をすでに販売しています。ヤンマーアグリも「スマートパイロット」という名前の自動運転技術を使った農業機械シリーズを販売しています(出典:クボタの新製品発表、ヤンマーの自動農機)。

工場で作る台数(出荷額)は、年によって波があります。日本建設機械工業会によると、2024年度の建設機械の出荷額は前年度より9.1%減っており、なかでも輸出向けの落ち込みが目立ちました(出典:日本建設機械工業会)。農業機械も、日本農業機械工業会によると2024年の主要機種の出荷額(作業機を除く合計)は前年より9.6%減りましたが、2025年は前年より9.1%増えたという報道もあり、年ごとの波が大きい業界です(出典:日本農業機械工業会、農村ニュース)。この波が求人の数や残業の量にどう影響するかまでは、公開されている情報からは確認できませんでした。

向いている人としては、体力に自信がある人、重い部品を扱う作業に抵抗がない人、資格を取って給料アップを目指したい人が挙げられます。逆に、小さい部品を座って扱う軽い作業を希望する人には、電子部品や食品の工場のほうが合っているかもしれません。

次にやること

建設機械・農業機械工場の仕事が気になる人が、次にやることは3つです。

  1. 気になるメーカー(コマツ・日立建機・コベルコ建機・クボタなど)の採用ページを見る。 募集している工場と、最新の給料・寮の条件を確認しましょう。
  2. 求人票で「フォークリフト」「玉掛け」「クレーン」の資格が必須か、歓迎なのかを確認する。 歓迎条件でも、入社してから取らせてもらえるかどうかを聞いてみるとよいです。
  3. 寮の条件(費用と、食事代が支給されるかどうか)を比べる。 手取りがどれくらい残るかは、寮の条件によって変わってきます。

参考にした情報

企業の採用サイト、業界団体の公開資料、求人サイトの掲載情報をもとにまとめました(取得は2026年8月)。給料や制度、募集状況は変わることがあるため、応募前に各社の公式サイトで確認してください。