乾燥設備作業主任者の取り方|講習の費用・日数・受講資格

塗装した部品を焼き付ける炉や、薬品を乾かす乾燥室。こうした設備を一定以上の大きさで使う工場では、会社が「乾燥設備作業主任者」を決めておく必要があります。

主任者になれるのは、技能講習(国が決めた内容の講習)を修了した人だけです。ただ、この講習は誰でもすぐ受けられるわけではありません。乾燥設備を扱った経験が、原則5年以上必要です。

職場で取るよう勧められた人や、自分が受けられるか知りたい人に向けて、受講の条件と日数、費用、申し込み方を、法令と各地の講習機関の公式ページから整理しました。

先に結論

  • 乾燥設備作業主任者は、労働安全衛生法にもとづく「作業主任者」の1つです。技能講習を修了した人の中から、会社が選びます。
  • 受講資格は、乾燥設備を扱う仕事の経験5年以上が基本です。理科系の大学・高専を出た人は1年以上、理科系の高校を出た人は2年以上の経験で受けられます。
  • 講習は学科だけで、多くの機関は2日間です(科目15時間+修了試験1時間)。
  • 受講料はテキスト代込みで1万1,550円〜2万350円でした(2026年10月31日、8機関の公式ページで確認)。
  • 修了試験は1時間の機関が多いです。合格率を公表している機関は見つかりませんでした。
  • 必要になるのは、危険物を乾かす内容積1立方メートル以上の設備や、燃料・電力を一定以上使う乾燥設備です。

会社が選ぶ、乾燥作業の指揮役

労働安全衛生法では、危ない作業ごとに「作業主任者」を置くよう会社に求めています。乾燥設備作業主任者もその1つです。

労働安全衛生規則(第297条)には、「乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者のうちから、乾燥設備作業主任者を選任しなければならない」と書かれています。講習を修了していない人は、主任者になれません。

同じ規則の第298条では、主任者の仕事を4つ決めています。

  1. 乾燥設備を初めて使うときや、乾かし方・乾かす物を変えたときに、作業のやり方を伝えて、直接指揮する
  2. 設備や付属の設備に不備を見つけたら、すぐに対応する
  3. 設備の中の温度、換気の状態、乾かしている物の状態をこまめに点検し、異常があればすぐに対応する
  4. 設備のまわりを整理整頓し、燃えやすい物をむやみに置かない

※労働安全衛生規則 第297条・第298条(e-Gov法令検索)より。

どの大きさの乾燥設備で必要になる?

主任者が必要な設備は、労働安全衛生法施行令の第6条第8号で決まっています。「乾燥設備」は、熱を使って物を乾かす乾燥室や乾燥器のことです(火薬類は除きます)。

乾かす物 熱源 主任者が必要になる大きさ
危険物、または危険物が出る物 問わない 内容積が1立方メートル以上
それ以外の物 固体燃料 最大消費量が毎時10キログラム以上
それ以外の物 液体燃料 最大消費量が毎時10リットル以上
それ以外の物 気体燃料 最大消費量が毎時1立方メートル以上
それ以外の物 電力 定格消費電力が10キロワット以上

※労働安全衛生法施行令 第6条第8号(e-Gov法令検索)より。ここでいう「危険物」は、同じ施行令の別表第1に書かれた物です。危険物取扱者の資格でいう「危険物」とは、決まりが別です。

自分の職場の設備が当てはまるかは、設備の銘板(大きさや消費電力が書かれた板)や仕様書で確かめられます。わからないときは、職場の安全担当の人か、労働基準監督署に聞いてください。

どんな工場で使われている?

厚生労働省の通達によると、塗装や接着をした物を乾かす設備で、爆発や火災が多く起きてきました。自動車整備の塗装乾燥設備で、死亡事故も起きています。

厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」の災害事例には、次のような職場が出てきます。

業種 乾かしていた物
医薬品製造業 エタノールを含むビタミン剤の顆粒
プラスチック製品製造業 溶剤で油汚れを落としたプラスチックの部品
自動車・同付属品製造業 粉体塗装の前に洗ったアルミホイール
クリーニング業 溶剤で洗ったあとの毛布

医薬品製造業の事例では、乾燥室でエタノールを含む薬を加熱しているときに爆発が起き、6人がけがをしました。原因の1つとして、乾燥設備作業主任者が選ばれていなかったことが挙げられています。

※職場のあんぜんサイト(厚生労働省)の災害事例 No.100391・No.406・No.100135・No.744 より。

受けられる人の条件は?経験年数が決め手

受講資格は、労働安全衛生規則の別表第6で決まっています。次のどれかに当てはまる人が受けられます。

学歴 必要な経験
学歴は問わない 乾燥設備を扱う作業に5年以上
大学・高専で理科系の学科を卒業 卒業後、乾燥設備の設計・製作・検査・取扱いの作業に1年以上
高校・中等教育学校で理科系の学科を卒業 卒業後、乾燥設備の設計・製作・検査・取扱いの作業に2年以上

※労働安全衛生規則 別表第6より。このほか「厚生労働大臣が定める者」も受けられます。東京労働基準協会連合会の案内では、満18歳以上であることも条件に入っています。

申し込むときは、経験を証明する書類がいる機関が多いです。千葉労働基準協会は「受講資格証明書」、愛知労働基準協会は申込書の事業者証明欄、東京労働基準協会連合会は「資格・事業主証明書」を求めています。学歴で受ける人は、卒業証明書も必要です(東京の案内より)。

経験の年数が足りないと受けられません。まず会社の担当者に、自分の経験を証明してもらえるか相談しましょう。

講習の中身は2日間の学科

講習は学科だけで、実技はありません。東京労働基準協会連合会の案内では、科目と時間は次のとおりです。

科目 時間
乾燥設備と付属設備のしくみと扱い方 4時間
点検整備と、異常が起きたときの対応 4時間
乾燥作業の管理 5時間
関係法令 2時間
修了試験 1時間
合計 16時間

※東京労働基準協会連合会の案内より(2026年10月31日確認)。

ほとんどの機関は2日間で、朝9時前後から夕方6時ごろまでの長い日程です。茨城労働基準協会連合会は3日間の日程で、3日目に修了試験があります。

遅刻や早退で受講時間が足りないと、修了証はもらえません(香川労働基準協会の案内より)。2日間とも通しで休みを取っておきましょう。

費用はいくら?機関ごとの受講料

受講料は、講習を開く機関(登録教習機関)ごとに違います。各地の労働基準協会の公式ページで確認した金額です。

機関 受講料(テキスト代込み・税込) 日数
香川労働基準協会 1万1,550円 2日間
愛媛労働基準協会 1万2,650円(一般) 2日間
愛知労働基準協会 1万3,450円 2日間
千葉労働基準協会 1万4,850円 2日間
兵庫労働基準協会連合会 1万4,850円 2日間
茨城労働基準協会連合会 1万4,850円 3日間
新潟県労働基準協会連合会 1万8,700円 2日間
宮崎労働基準協会 2万350円(一般) 2日間

※2026年10月31日に各機関の公式ページで確認。テキスト代はどの機関も1,650円(愛媛の会員は1,320円)で、表は受講料とテキスト代を足した額です。茨城は受講料1万3,200円とテキスト代1,650円を足しました。宮崎の会員は1万9,250円です。金額は変わることがあるので、申し込む前に機関のページで確かめてください。

会社の指示で受ける場合は、受講料を会社が出すことが多いです。自分で払う前に、会社に確認しましょう。

修了試験と難易度

修了試験は、確認できた6機関で1時間でした。千葉労働基準協会は合格の基準を「各科目40%以上かつ総合60点以上」と公表しています。

合格率を公表している機関は見つかりませんでした。試験は講義のあとに、講義で使ったテキストの内容から出ます。2日間の講義を聞き、テキストを見直しておけば対応できる内容です。

試験に合格すると、写真入りのカード型の修了証がもらえます(千葉・兵庫の案内より)。なくしたときは、講習を受けた機関に再交付を申し込みます(千葉労働局の案内より)。

申し込みの流れ

  1. 受けたい機関を探す。 住んでいる県や勤め先の県の労働基準協会のページで、「乾燥設備作業主任者技能講習」の日程を見ます。開催回数は機関で違います(2026年度は新潟が年4回、香川と愛媛は年1回)。
  2. 受講資格を証明する書類を用意する。 会社に実務経験の証明を書いてもらいます。学歴で受ける人は卒業証明書も用意します。
  3. 申し込む。 WEB予約、郵送、FAXなど、機関ごとの方法で申し込みます。顔写真がいる機関もあります。
  4. 受講料を払う。 申し込み後に届く案内に沿って振り込みます。
  5. 2日間受講して、修了試験を受ける。

受付は開催の1〜2か月前から始まる機関が多く、定員になると締め切られます。日程が決まったら早めに申し込みましょう。

求人での扱い

乾燥設備作業主任者を「歓迎」と書く求人はあります。たとえば、配電盤や制御盤をつくるエムケー電機は、採用ページに「乾燥設備作業主任者資格取得者 大歓迎」と書いています(2026年10月31日確認)。

一方で、この資格の資格手当の金額を会社の公式ページで書いている例は、見つかりませんでした。手当が出るかどうか、いくらかは、求人票や面接で確かめてください。

似た資格との違い

塗装や化学の工場では、ほかの作業主任者や資格と一緒に求められることがあります。

資格 何のための資格か
乾燥設備作業主任者 一定以上の大きさの乾燥設備で、物を加熱して乾かす作業の指揮
有機溶剤作業主任者 シンナーなどの有機溶剤を使う作業の指揮
特定化学物質作業主任者 法律で決められた有害な化学物質を使う作業の指揮
危険物取扱者 ガソリンや灯油などの危険物の取り扱いと保安の監督
ボイラー技士 ボイラーの取り扱い

※中央労働災害防止協会「作業主任者の選任が必要な業務一覧表」、消防試験研究センター、安全衛生技術試験協会の公式ページより。

溶剤で汚れを落とした部品を乾かす現場では、乾燥設備と有機溶剤の両方の主任者が必要になることがあります。職場のあんぜんサイトの事例(No.406)でも、対策として両方の主任者を選ぶよう書かれています。有機溶剤作業主任者の取り方は、有機溶剤作業主任者の取り方にまとめています。

次にやること

  1. 職場の乾燥設備の大きさを確かめる。 内容積や燃料・電力の消費量を、設備の銘板か仕様書で見ます。
  2. 自分の経験年数を数える。 学歴を問わない場合は5年以上、理科系の大学・高専卒は1年以上、理科系の高校卒は2年以上が必要です。
  3. 会社に経験の証明と受講料の扱いを相談する。 証明書がないと申し込めない機関が多いです。
  4. 近くの労働基準協会で日程を探して申し込む。 受講料はテキスト代込みで1万1,550円〜2万350円が目安です。
  5. 2日間の休みを確保する。 遅刻や早退をすると修了証がもらえません。

ほかに取っておくと役立つ資格は、工場で稼げる資格の比較で見られます。

参考にした情報

  • e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318
  • e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
  • 東京労働基準協会連合会「乾燥設備作業主任者技能講習」 https://www.toukiren.or.jp/kousyu_07.html
  • 東京労働基準協会連合会「講習日程・申込のご案内」 https://www.toukiren.or.jp/subject/guide.html?sub=7
  • 千葉労働基準協会 https://chibaroukiren.com/session/41/
  • 愛知労働基準協会 https://www.airouki.or.jp/course/skill/kanso.html
  • 新潟県労働基準協会連合会 https://www.shinkiren.jp/ginou/kanso
  • 兵庫労働基準協会連合会 https://hyogo-roki.or.jp/training/kansou/
  • 香川労働基準協会 https://kagawa-rouki.or.jp/%E4%B9%BE%E7%87%A5%E8%A8%AD%E5%82%99%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E8%80%85%E6%8A%80%E8%83%BD%E8%AC%9B%E7%BF%92/
  • 愛媛労働基準協会 https://ehimerouki.jp/workshop/skill_training/%E4%B9%BE%E7%87%A5%E8%A8%AD%E5%82%99%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E8%80%85%E6%8A%80%E8%83%BD%E8%AC%9B%E7%BF%92/
  • 宮崎労働基準協会 https://www.miyazaki-roukikyo.or.jp/kensyu/ginou/4922
  • 茨城労働基準協会連合会 https://roukiren-ibaraki.or.jp/%E4%B9%BE%E7%87%A5%E8%A8%AD%E5%82%99%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E8%80%85%E6%8A%80%E8%83%BD%E8%AC%9B%E7%BF%92/
  • 千葉労働局「技能講習修了証の再交付」 https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/ginoukousyu_20210915.html
  • 厚生労働省「危険物乾燥設備における爆発災害の防止について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2425&dataType=1&pageNo=1
  • 職場のあんぜんサイト 災害事例 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/jirei/sai_100391.html / https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=000406 / https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/sai_det.aspx?joho_no=100135 / https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=000744
  • 中央労働災害防止協会「作業主任者の選任が必要な業務一覧表」 https://www.jisha.or.jp/info/field/shikaku/list05.html
  • 消防試験研究センター「危険物取扱者」 https://www.shoubo-shiken.or.jp/knowledge/kikenbutsu.html
  • 安全衛生技術試験協会「二級ボイラー技士」 https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai122/
  • エムケー電機「採用情報」 https://mkdenki.jp/recruit/